芹沢由紀子

あゝ、荒野 後篇の芹沢由紀子のレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
3.0
だめだ、ぜんぜん好きじゃなかった。面白そうな雰囲気バリバリ出てたから、期待値が大きすぎたと思われる。
菅田将暉のきらめきの怒涛の押しだけで見る価値はあると思うけど、なんだか合計300分も使っておいて、心に染み入るものは何ひとつなかった。
好きだったのは、ボクシングの試合のシーンのリング内の臨場感。
ストーリーとキャラクターは終始ファンタジーでふわふわしており、少年漫画を思わせた。
何を楽しんでいい映画なのかな?ただ、新宿やその界隈、大塚、池袋、雑司ヶ谷とか見慣れたロケ地の空気感は楽しかった。近所の床屋も使われてて「おお!あの店だ」とうれしかった。
あとボクシング会場がプロテストのみ後楽園ホールだが、あとは全部ディファ有明で、観客も少なくて違和感だった。

私が好きだったのは、二代目の乙女な演技。ハートの目で健二を見つめていて笑えた。

バリカン健二の俳優さんは、「息もできない」の脚本監督主演した人だったのね、彼の存在感だけはリアリティーがあったと思う。彼のパンチは本当に重たそうだった。

まず、女性の描き方にリスペクトがなく、女優はとりあえず脱がせてセックスさせておけば客は満足するだろうという感じ。不快感しかない。
おっぱいは出しておけばいいというものではない。馬鹿にするな。
女性はとにかく作り手の中で、つねにクズでダメ人間な見え方をしているんだろう。(4人とも流れ者でふわふわしている)

その分主人公たちのかっこよさや生きざまへの陶酔が引き立っていた。

たくさん広げた群像劇の着地点が回収されていない。最後まで見てもやもやした。全員何がやりたかったのかわからない。
この感想は、完成された映画を見すぎてきた私が受けた思いであり、「寺山修司的文体を楽しむ作品の映画化」を楽しむほど彼の世界観をよく知らないので、あくまで一観客の意見です。
芹沢由紀子

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