芋けんぴ

アナと雪の女王2の芋けんぴのネタバレレビュー・内容・結末

アナと雪の女王2(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ダム決壊で王国が--少なくとも城がながされてたら100点満点だった。

自分の祖父が犯した罪、過ちを正すために重大な決断をくだすというのはブラックパンサーや一見ふざけてるように見えたソーのラグナロクにも通じる現代社会の深刻な課題だが、アレンデールをディズニーランドや、ワールドで展開していこうという時期にさすがに城を破壊することはできなかったか。

多分、監督さんや脚本家チームの本音はアレンデールの破壊とアナの手による地道な再生だったんだろうと想像する。

でもディズニー映画としてはダムの決壊までが限界で、アナ雪ほどの世界的大大大ヒット作で冒険はできないから、オラフも復活して、アナも結婚した。

アナとエルサが別々に国を治めることでそれぞれに自立の道を歩むという流れはシュガーラッシュの2作目にも通じてて、ここは良かった。ホッとした。

逆に言えばアナ雪で冒険できないからシュガラ2があんな束縛心具現化ホラーになったとも言える。

メイン楽曲のin to the Unknownはサビに入る不穏なコーラスがたまらなくて前作より中毒性がある。

おそらく三部作を見据えてる2作目だろうからもっとダークになると思ったし、上記の楽曲がその予感を凄い高めてくれてたんだけど……残念。

そして、何かこう共通点を感じるのが「天気の子」。本作と「天気の子」には、エンタメ映画としての明確な「人間の敵」というのがいないのだ。

僕らが対峙すべきは現在の思想や国籍、人種ではなく、先祖が犯した、もしくは僕らが犯した罪をいかに次の世代に「引き継がず」解決するかにあるのであって、悪者が主人公を陥れたり、誇大妄想狂が自分の手前勝手な正義で謀略を働く。そういうヴィランの存在自体でもってわかりやすいエンタメにする手法を「天気の子」も本作も、それこそ「シュガーラッシュ オンライン」もやってない。

新しい敵を作って、またそれを倒すというパターン化ではなく、既存の登場人物に現代に通じる問題を背負わせて、それこそが今対峙しなければいけないことだとして物語を展開する。

ものすごくリスキーで困難な方法だけど安易な強敵を作って、話を陳腐化させなかったディズニーの判断には拍手を送りたい。


感想がとても3.5点の内容じゃないけど、監督や脚本家チームが本当にやりたかったラストは明らかだから、なんか嫌いになれない。
芋けんぴ

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