てっぺい

アナと雪の女王2のてっぺいのレビュー・感想・評価

アナと雪の女王2(2019年製作の映画)
3.5
【滅ぼさない映画】
あのキャラが一曲熱唱?前作のキャラを誰一人滅ぼさず活躍の場を与える、キャラ愛満載映画。辿り着くエンドの説得力・構成力、そして映像美も、期待ハードルをきちんと越えてくれる。

◆トリビア
○冒頭、幼いエルサとアナが雪で遊ぶシーンでは、エルサが作り出した雪像としてダンボやベイマックス、ボルト、白雪姫が登場する。(https://www.cinematoday.jp/page/A0007017)
○アナのベルトは日本の着物の帯がモチーフで、前作でアレンデール王国が開かれ、日本から贈られたという裏設定がある。(https://www.cinematoday.jp/page/A0007017)
○ エルサとアナの声優を務めたクリステン・ベルとイディナ・メンゼルがハリウッド殿堂入りを果たした。(https://www.cinematoday.jp/news/N0112499)
○ 本作は、ディズニー長編アニメーションの中で58本目であり、たった4本目の続編。(https://www.cinematoday.jp/news/N0112348)
○ 前作で、秘密を抱えて生きるエルサがそれをオープンにした時に幸せを手に入れる姿がLGBTQ+の人達のシンパシーに繋がり「続編ではエルサを同性愛者のプリンセスとして描いて欲しい」という声が噴出。「#GiveElsaAGirlfriend(エルサにガールフレンドを)」というハッシュタグで拡散された。(https://front-row.jp/_ct/17319853)

◆概要
日本での興行収入255億円(歴代3位、洋画アニメとしては1位)を記録した「アナと雪の女王」の続編。
【声の出演】
『glee/グリー』イディナ・メンゼル
「ズートピア」クリステン・ベル
『glee/グリー』ジョナサン・グロフ
「僕のワンダフル・ライフ」シリーズ ジョシュ・ギャッド
松たか子
神田沙也加
吉田羊
余貴美子
新津ちせ(元「パプリカ」Foorinの最年少メンバー)
【監督】
クリス・バック
ジェニファー・リー(いずれも前作から続投)
【音楽】
ロバート・ロペス&クリステン・アンダーソン=ロペス(“Let It Go”で第68回アカデミー賞歌曲賞を受賞した夫妻で、本作に7曲の新曲を提供)

◆ストーリー
前作から3年後の世界。ある日、エルサにしか聞こえない不思議な歌声により、エルサ・アナ姉妹は未知の世界へと導かれる。それは、エルサの魔法の力の秘密を解き明かす冒険の始まりだった。姉妹は仲間のオラフやクリストフとともに、数々の試練に立ち向かっていく。

◆感想
意外ながらも納得のいくエンド。続編をあまり作らないディズニーが捻り出した光る脚本だと思う。氷と水のスケールの大きな映像美、そしてその中で舞うエルサがアニメながらなんとも美しい。キャラクター愛が随所にある、冷たい映像だらけながらとてもあたたかい映画。


◆以下ネタバレ


◆脚本力
メガヒットを記録した前作。続編を作るにはあまりにも製作側の責任とハードルが高かったはず。見終わった感想は“さすが”。エルサがなぜ力を持つのかに焦点を当てつつ、二つの王国の架け橋にエルサだけでなくアナを繋げた構成が素晴らしい。風・水・火・地の4要素にそれぞれのキャラを立てて(ゲイル・水の馬・トカゲ・巨人)、その中心にある5番目の精霊として、エルサとアナが物語のゴールへ向かっていくのも美しい。

◆キャラクター愛
本作は、そんなアナに始まり、メインの曲を与えられたクリストフ&スヴェン(まさかスヴェンが歌うとは笑)、“水は記憶する”とやけに知的なオラフと、各キャラに満遍なく製作側の愛があったように思う。
極め付けはポストクレジット。本編で一瞬しか登場しなかった氷の怪物(マシュマロウというらしい)が、まるで「もののけ姫」のこだまのような子供達と笑うラストがいい。一度キャラクターに命を与えたら滅ぼす事が出来ない、ディズニー映画の普遍的なキャラクター愛があったように感じられた。

◆映像美
ダムが決壊してアレンデールへ洪水が押し寄せる(日本人には別のものを想起させるけど)迫力と、氷のバリアで王国の危機を回避するエルサのシーンがピカイチ。またそれに至る、エルサが祖父の過去を知るシーンあたりから身にまとう衣姿とはだけた髪が、アニメながらなんとも美しい。水の馬に乗り風を切って走る純白の姿がワイルド&ビューティー。あれは多分ずっと見てられる笑。
ちなみに、巨人達が眠る川に追いやられたアナのシーンは、その映像スケールもさる事ながら、鳥肌立つほどゾッとした笑。


もどかしいほどすれ違った(笑)プロポーズも成功。誰も傷つけず、オラフの言う通り完璧なハッピーエンドにたどり着いてくれる安心して観れる映画でした!
てっぺい

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