10円様

ライオン・キングの10円様のレビュー・感想・評価

ライオン・キング(2019年製作の映画)
4.3
ライオンキング実写化。しかし本物の動物がいるわけでもなく、アニマトロニクスすら使用していない。現場ではスタッフがパソコンをポチポチして俳優が声を当てている。フルCGのリメイクを果たして実写と呼べるのか…実際に鑑賞すれば分かります。これは実写と呼べちゃいます。獣毛のなびき方から間接の動きまで正に本物です。最先端技術をこんなに美しく使った映画を観たのはおそらく初めてかもしれません。

アニメ版は何回も観てるのでストーリーは分かっていたのですが、ライオンキングといえばハンスジマーとエルトンジョンが生み出したディズニー屈指の名曲の数々が印象深い作品です。ジュリーテイモアが演出したブロードウェイ版のサントラも何度も聴きました。お互いの良い所を持ってきた選曲がファン泣かせなのですが、やはり歌はブロードウェイ版の方が上手かったかな。ただ言い換えると今作の歌は人間味があってそれはそれで聴き入っていました。アニメ版にはなかった「ライオンスリープトゥナイト」をアカペラで歌いながらティモン、プンバその他の仲間が練り歩くシーンは良いアレンジでした。(あれ?あったっけ?)

あと気付きましたか?この二匹、美女と野獣の「ビーアワゲスト」を歌おうとするんですよね。(確信はないけどあれはビーアワゲストです)
結局ハイエナの攻撃を食らって歌えなかったけど。そこがね、昨今のディズニーに必ずあるイースターエッグですよね。

アラジンの「ホールニューワールド」の時もそうだったんですけど、このシーンがダメなら作品全体ダメ!ってのが私の中にあるんです。ライオンキングの場合は「ハクナマタタ」でシンバが歌いながら成長するシーンです。ここはオリジナルを忠実に再現してくれたので、アラジンほどの高揚感はありませんでしたがグッドでした!

歌曲に関して残念だったのはところどころで流れる「シャドウランド」という音楽です。とても悲しく壮大な曲ですよね。シンバとムファサがプライドランドを眺めるシーン、と言うかBGMの9割はこれでした。しかしブロードウェイではナラが歌うんですよね。これがまた凄い良いんです。使って欲しかった!

音楽にばかり気にしてしまった本作の総評は、やはりオリジナルに全く色を付けずに制作した点が勿体無いと思いました。アニメだから可能だった動物たちのマンガチックな表情もここでは不可能。しかし不自然にならない程度の変化は上手くついていたと思います。表情のバリエーションの少なさを俳優さん達は完璧にカバーしていましたね!

さて次のディズニーの実写はマレフィセント2かな?
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