河豚川ポンズ

ライオン・キングの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

ライオン・キング(2019年製作の映画)
3.7
ナァ~~ツゴェンニャ~ババジ!ジババ~って始まる映画。
10年経っても最初の「Circle Of Life」を聞くたびに脳内をよぎるのは芸人の大西ライオンの顔。
同じディズニーアニメ実写化の「アラジン(2019)」をこの前観たばっかりなのに、もう「ライオン・キング」やってるし、10月には「マレフィセント2」、来年は「ムーラン」でディズニー忙しすぎでしょ。

”プライドランド”の王であるムファサ(ジェームズ・アール・ジョーンズ)の息子であり、何事にも好奇心旺盛でやんちゃな子ライオンのシンバ(ドナルド・グローバー)は、父のムファサに憧れて毎日冒険の日々だった。
しかしまだ子ライオンでしかないシンバに対してムファサはプライド
ランドを越えた向こう側には行ってはならないと常日頃から言い聞かせていた。
一方でムファサの弟で、シンバの叔父でもあるスカー(キウェテル・イジョフォー)は、その向こう側には像の墓場があり、大人たちは誰もが一度は行ったことのある場所だと話すのだった。
早く一人前として認められたかったシンバは幼馴染の雌ライオンであるナラ(ビヨンセ)とともに、子守り役のザズー(ジョン・オリバー)を撒いて像の墓場へと踏み入るのだった。


宣伝で”超実写版”って銘打つからどういうことなのかと思ってたら、本当に圧倒的技術力の3DCGで描き出していく「ライオン・キング」そのものだった。
正直ストーリーはもう完全に自分は忘れてしまってたけど、まあ確かにこんな話だったわという感じで、特別大きな変化も無くそのまんまといったイメージ。
でもとにかくリアリティに極限まで力を割いてて、少し前の「ジャングルブック(2016)」から見ても格段にリアル。
前半のシンバがただひたすらかわいい子ライオンでしかないし、ムファサがハイエナ相手に無双してるところはめちゃめちゃかっこいい。
ライオンのバトルで鳥肌が立つなんて初めての体験。
しかしそんなリアリティの代償なのか、アニメ版ほどの表情の豊かさは少し失われてしまったように思える。
ティモンとプンバァなんてただのおしゃべりなミーアキャットとイボイノシシにしか見えないし。
やっぱりアニメの力は偉大だわ。
ディズニーの惜しみない技術力は分かったけども、それよりもよりエモーショナルなものが観たかったなというのが本音ですね。

ストーリーはまさに王道中のド王道。
次代の王になるであろうシンバが、ムファサの死という試練を乗り越えて、王として備えるべき資質に目覚めていくというもの。
「アラジン(2019)」はジャスミン姫のストーリーが大きく変更されて、現代の価値観にアップデートされていたけど、こっちにはそういった改変は無し。
ヒロインポジションのナラもビヨンセまでキャスティングしてるのに、そこまで出番があるわけでも無く、シンバとスカーだけで話が広がっていく。
むやみにストーリーラインになるキャラクターを増やしても話がとっ散らかっていくだけだから、一概に良い悪いの話ではないけど、それなら本当に何故フルCG化させたのか、ただのディズニーの技術力の見本市に使われただけだったの?という気がしないでもない。
ここまであまりうまく褒められてないというか、むしろダメなんじゃない?みたいな論調だけど、別にそこまで嫌いなわけじゃない。
でも言葉にしてみると、何故か褒め言葉がなかなか出てこない、難しい。
とにかくシンバの子ライオン時代が生粋の猫派の自分には天国だったぐらいしか出てこないや。