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ボヘミアン・ラプソディのOtoのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
3.9
Queenの"音楽のファン"として楽しかった(世代じゃないからバンドの歴史は全然知らなかった)。自分はずっと口ずさんでたし、ドンピシャ世代であろう隣のおじさんは号泣してた。
冒頭の20世紀FOXファンファーレからブライアンメイのレッドスペシャルの音に興奮して、Keep yourself alive、Fat bottomed girls…、好きな曲しか流れない映画ってこんなに楽しいのかー!!と思って観ていた。

でも昔から聴いてきたBohemian Rhapsodyがいかに音楽史的に特殊でどれだけフレディ思いが詰まった曲か、We are the championsという言葉の重みとかも初めて意識して感動した…。聴き慣れたQueenの曲の聴き方が変わって、ラストのライブのボヘミアンは泣きそうになった。

貴重な人生の時間から2時間半も使って映画観るんだから何か自分の生活に生かさないととか最近は思ってしまうので、そういう目線でも書くと、
「クリエイターは埋まらない心の欠落を持っている方が良い創作物が生める」というジレンマはたまに感じていて、フレディの自分勝手さ、無神経さ、弱さがあったからこそ生まれた名曲が沢山あるだろうけど…あれだけの観客を魅了しても尚、強烈な孤独と闘っていたというのは考えさせられてしまう。

ソロも十分成功だと自分は思うけど、対立しながらも家族としての居場所になっていたバンドに多くの人が惹かれたんだろな。。孤独に自分だけと向き合う時間は絶対に創作に必要だけど、他人との交流を絶って作ったものが、他人の心を動かすのは難しいのかもと思った。
「クイーンを失ったプロデューサー」を見返すみたいな展開は、人生で一回はやってみたい。

パーティーが象徴するようにやりたい放題の生活をやってきたし、自負があるゆえにメンバーのことバカにしたりもしてたし(「誰も読まない論文書いてろ!」とかヒドすぎてわろた)、自業自得の部分もありそうだけど、ゲイに関しては全く罪はないので辛いな。。でも、インド式の埋葬で死んだり、メアリーとは生涯友達として続いていたり、ジムを見つけたり、結果的に素晴らしい人生。改変も多いけど。

記者に問い詰められるシーンとか、恋愛関連、パーティー関連のシーンは人柄の描写として必要だけど、もう少しコンパクトにできた気がしなくもない。
意外と出会いのシーンが好き。他の二人が歌うま!!ってならずに、すぐにコーラスに入る反射神経。自分も(数年前みたいに)音楽がもっと身近にあって他人と奏でる場所があったらもっと幸せかも。専門の全然違うメンバーとバンドやるの絶対楽しい。
バンドメンバーの俳優陣はモノマネになりすぎない絶妙のバランスで良かったけど、ライブシーンで編集点とか作り物感が意識しやすかったからか、少し自分の没入感を邪魔した。

『Sing Street』から好きなLucy Boyntonは、やっぱりバンドマンの彼女役にピッタリ。同い年に見えない…
日本でのブレイクはスルーして欲しくなかった。一言触れただけ。
将来も猫は飼い続けたいなーってのと、Queenマニアのエドガーライトの感想が知りたい。


(解説聞いて
・監督交代してクレジットされてるブライアンシンガーはほぼ何もしていないこと
・事実でいうとフレディ個人よりはバンドとしての評判が(サンシティ以降)落ちていてそこからの再起が歌詞とリンクしていること
・ブライアンメイとロジャーテイラーの意向が強く反映されていること
・PAがQueenの時だけリミッターを外したのは事実だということ
・役者がフレディに変身していく様と、インドの青年がフレディに返信していく様のリンク
・ライブをステージ目線で追体験させて自己肯定を体感させる珍しさ
・エイズの時期に関しては病気に耐えてお涙頂戴・・みたいな改変はしてないので全然セーフ
とかは発見。
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