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ボヘミアン・ラプソディのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
3.5
【LIVE AID Magnifico!!!!】
この作品は、通常の上映で観てはいけない。できるだけ、音響が良いところ、なんなら絶叫上映や応援上映で観た方が良いです。でないと後悔します。

なんたって、ライブシーンで、Queenが「みんな歌おう♪」と言っているのに、歌うことも、ズンズンパッもできないんだよ!

特にクライマックス伝説のLIVE AIDでの有終の美に参加することができないんだよ!

こんな苦行ある?

私はそれを体験した。これから観る人に同じ苦痛を味わってほしくない。だから、なるべく良い環境で観てください。

何々?DVD出たら観るって?映画祭で金ないって?いや、これを家で観ようなんて!やめとけ!後悔するぞ!

さて、批評家にボロクソ叩かれ、一般客絶賛の本作ですが、海外の酷評はそこまで参考にならなかったことを報告します。

何本かアメリカとフランスの酷評を読んだのですが、この映画が嫌いなライターが正当な酷評の口実として、「史実と違う」ことと「表面的バイセクシャル描写」という切り口を使っているに過ぎません。前者は戦争や事件の映画化、ドキュメンタリーなら正当だが、アーティストの映画でこれを言うのはライターの首を絞めるだけです。実話をどう面白く映画に翻訳できるのかが映画の役割で、エンタメの渦中にいた人物の映画化で「史実と違う」と叫ぶのは、映画のエンタテインメントの側面を否定してしまうこと。また後者はLGBTQ映画叩きにありがちな論法なので、非常に陳腐化しやすい。現に実際に読んでみて、刺さるものを感じなかった。

確かにこの作品は問題が多い作品である。フレディのバイセクシャル方面のコンプレックスはしっかり描けているが、前半意味ありげに魅せられる人種方面のコンプレックスはなかったかのように消えつしまう。また、メンバー内の仲が深まるプロセスはなく、いきなり成熟しフレディの言いなりになっているメンバーが映し出される。そして、名曲ゴリ押しで物語を無理やり進めている感じが強い。

ただ、これらの描写を叩くのは罠である。実はこの作品は、フレディという《未来しか見ない高慢な男》がDon't stop me now!と叫びながら、イケイケドンドン人生を突き進むが、仲間、恋人を失って初めて《過去》そして《自分》と向き合う話なのだ。『ソーシャル・ネットワーク』が単なるfacebook創設者の話ではないように、本作も単なるフレディ・マーキュリーの話ではないのだ。止まってしまったら、嫌な自分が見えつしまう。自分を見ないように人生を走った男が、最後には自分と向き合い勝つ。それも棄てた本当の家族、Queenという家族の愛を受容し勝つのだ。

だからこそ、ライブエイドのシーンは泣ける。観る者はフレディのWe are the championsに涙するのだ。

高度な技術で包まれた本作が面白いかと訊かれたら、途中の中だるみはかなりキツイところがある。しかし、完璧なライブエイドの再現に涙しない者はいるのだろうか?興奮しない者はいるのだろうか?

1,800円でサイコーのライブに参加できただけでブンブンは大満足だ。これから観る人は是非ハンカチ、ティッシュをお持ちください。

ブログ記事:【ネタバレ考察】『ボヘミアン・ラプソディ』ライブエイド、フレディの有終の美がMagnifico!↓
https://france-chebunbun.com/2018/11/12/post-17572/

ブログ記事:【『ボヘミアン・ラプソディ』公開記念】今こそ観たい!聴きたい!ハッチポッチステーションの世界↓
https://france-chebunbun.com/2018/11/13/post-17585/
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