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ボヘミアン・ラプソディのumisodachiのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
3.8
日本では唯一大阪にある次世代IMAXで『ボヘミアン・ラプソディ』を観てきた。朝9:55からの回だったが、かなりの入り。バブル世代の1人客が中心で、午前半休とって気合入れて観に来ました!という雰囲気満々の気迫が感じられた。

次世代IMAXは、4Kの映像、高さ18m×横幅24mのスクリーン、IMAX本来の1.43:1という画角、12.1chのサウンドシステムを有した映画館。映像も音も段違いで良く、現時点の日本では最高の映画体験ができる施設だといえるだろう。今までも私はここで『ダンケルク』や『グレイテスト・ショーマン』などを観てきたが、今回の『ボヘミアン・ラプソディ』が、今までの映画鑑賞経験の中で最高のものになった。(ただし、今まで観た映画の中で最高の1本というわけではない)

プレミアムシートのすぐ後ろ、ど真ん中の席を予約開始日早々にゲットし、昨夜もいつもよりも早めに就寝。万全のコンディションで臨んだ『ボヘミアン・ラプソディ』だったが、これほどまでに没入感を味わえるものかと感動した。毛穴まで見えるのではないかと思うほど鮮明な映像。ありとあらゆるところから絶妙なバランスで聞こえてくる音声。誇張でなく、私もその場にいるような感覚になった。本当にあっっっという間に時間が過ぎた。ライブエイドのシーンでは、永遠にこの時間が終わらないでくれとさえ感じたし、クィーンの音の洪水にずっと身を委ねていたかった。本作に関しては、飛行機や新幹線で大阪に来てでも次世代IMAXで観ることを強くおすすめしたい。これこそが「痺れる」ってやつだ。場内が明るくなったときは、ものすごくリアルな夢から醒めたような気がした。

ただ、ストーリーとしてはあっさりし過ぎているというか、バンドの歩みがスムーズ過ぎるのが気になった。映画の中での彼らは最初から常に評価され続け、何をやっても大衆から圧倒的な支持を得ていた。映画の中の困難や葛藤はフレディ・マーキュリーの私的な部分に終始し、他のメンバーはあくまでも穏やかで知的で常識的な人物として描かれていた。いやいやいやいやいや、そんなわけないでしょ。絶対にもっと色々あったでしょ。他のメンバーに気を遣ってます?と思わずにはいられない。

フレディの性的指向などプライベートな部分についても、なんだか奥歯にものが挟まったような描き方で……全体的に保守的というか遠慮がち。同じように実在のバンドを描いた『ジャージー・ボーイズ』なんかと比べると、守りに入ってるかなあという印象は拭えない。

しかーし!そんな粗さというか甘さをさっぴいても余りあるほど演奏シーンが魅力的なので、何度だって観たくなる。もう興奮しっぱなし。終盤は涙が流れっぱなし。思わず声が出そうになるし。この【映画体験】を逃す手はない。絶対に観るべき。

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