Otun

ボヘミアン・ラプソディのOtunのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
4.0
今日。ようやく「ボヘミアンラプソディ」を鑑賞してきました。iMAXにて。
大きな音でQueenを聴いてきた。
えー、観た上で、今回はちっともレビューじゃないことをつらつらと書きます。すいません笑。

私、今でこそ立派なるおじさんで、年々健康診断の結果に怯えたりもするのですが、その昔は若者然としていた頃もちゃんとあったのです。

今から20年ほど前。私は、現在居住している東京にはまだおらず、地元である九州におりました。
毎夜、私がレンタルビデオ屋のアルバイトを終えると、その時間を見計らって迎えに来た友人達と、当時仲間内で大流行りしていたQueenを聴きながら何処かにドライブに行くというのがその頃の私たち一番の夜遊びでした。

その日は、友人の一人が所有している車に、いよいよどデカいウーファーを導入したと言うので、マジかい、スゲーな、そりゃいいやん、最高やんと、そりゃ皆で爆音で繁華街に繰り出そうとなり、もうズンズンのフンフンにQueenの名曲たちを聴きながら向かったのでした。
スモークがかった友人の黒の四駆の、そのウーファーから吐き出される『ウィ・ウィル・ロックユー』『アナザーワンバイツァダスト』や『ウィー・アー・ザ・チャンピオン』は、今まで聴いていたステレオのそれとは明らかに違っており、私たちのテンションもぐんぐん上昇しました。当然、街の人達の視線を集めるのにも十分過ぎる威力を発揮しており、私達はまるでチャンピオンになったかのような錯覚を覚えたりしておったんです。

「ガガガガッシャーーン!!」。私たちが繁華街をしばらくフンフンしながら徐行していると、突如ウーファーの大音量にも負けない轟音が私たちの後方から聞こえてきました。
あら、今の何かしら?と皆で振り返ると、30メートルほど後方に、夜の街のチャンピオンとも言うべき、ゴッリゴリにコワモテでギラギラのおじさま達が3名そこにいらっしゃいました。
そして、そのおじさま達の信じられない事には、近くに停まっている自転車を、歩道から、手当たり次第に、こちら車道に、向けて、投げ込んでるじゃありませんか。
そして、「キサンら、ガキャァ!!うるさいったいゴルャァ!トマランカ!トマレ!トマレッテイイヨッタイ!ヤマカサ!メガネノアイガン!ハカタカラシメンタイコォォ!!」みたいな事を大声で連呼しながら、一歩、また一歩とこちらに近づいて来ます。
が、しかし。こちらは大音量でウィ・アー・ザ・チャンピオンを聴いたチャンピオン100倍の私たちです。
すぐさま、爆音映画祭の様だったQueenのボリュームのツマミを左に振り切れるほど回転させ、その音量を、爆音から秋に聴こえる優しい鈴虫のささやき(弱)ほどまで減少させました。
次に、運転席の友人はアクセルを踏む足が、もう車の底突き破って地面にめり込むんじゃねーの?え、てか、ウソ、それ、もう地面めり込んでんじゃねーの?と言うほどのベタ踏みで車を加速させました。
そう、つまり、ただただ血相変えて逃げました。逃げろー。

地元近くのラーメン屋まで命からがら逃げ帰り、ラーメンをすすりながら、「怖かったね」「ちかっぱ怖かったね」と、皆で興奮ぎみに話しました。
だって。それは、もう、本当に恐ろしかったから笑。
そんな中、ウーファーを買ったばかりの友人がポツリと「今後、大きな音でドライブするのはもう止そう」と呟き、それを聞いて皆で大笑いしました。


今日。ようやく「ボヘミアンラプソディ」を鑑賞してきた。iMAXにて。
久しぶりにあの夜みたいに大きな音でQueenを聴いた。あの頃と変わないフレディの「ママ~」を聴いた。
そしたら、近頃はずいぶんと顔を合わせていない友人達の顔。
すっかり忘れていたラーメン屋で大笑いしたあの夜の事。そんな思い出が、ふと甦った。
随分と滞っているアイツらとのグループLINEに久しぶりにメッセージでも送ってみようかしら。
『ご無沙汰。ところで、ボヘミアンラプソディ観た?』うん。文面はこれで十分だ。
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