ボサノヴァ

ボヘミアン・ラプソディのボサノヴァのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
2.8
圧倒的歌唱力、あらゆる人を惹きつけるカリスマ性を持ちながら、退廃と虚栄に塗れた私生活。また、男性バンドでありながらクイーンを名乗り、さらに自らはパンセクシャルであるという、混沌と矛盾と孕んだ神(あるいは女神)のような存在としてフレディ・マーキュリーを描こうという意気込みは感じたが、全体としてかなり薄味。

あれよあれよと言う間に、バンド参加、メジャーデビュー、ワールドツアーとトントン拍子に事が進む前半と、ほとんど前触れなく「本当の自分に気づいて」から一気に停滞する後半とのギャップが激しく、特に、髭キャラになってからのお約束的な堕落シーンの、まぁ長いこと。仲間との和解、という1番の見せ場も相当サッパリしたもので、ラストのライブシーンがもしスベっていたら、映画の印象はかなり違ったものになっていただろう。

そもそも、性的嗜好こそが彼の葛藤の中心であったということが、さも当然かのように描かれているが、果たしてフレディにとってセクシャリティの問題はそんなに重要だったのだろうか?実際がどうかは知らないが、そこに拘り過ぎたことが、この映画をステレオタイプで、ありふれたものに感じさせている気がした。
それよりも、序盤に少しだけ明らかにされる驚くほど特異な出自と、その呪縛から逃れようとするメンタリティこそが、彼の向上心と屈折の根幹であるのでないかという気がして、そこをもっと掘り下げて欲しかった。

ボヘミアン・ラプソディを含めたアルバムの製作過程のくだりは超好き。ああいう場面をもっと観たかった。ドンドンパッ誕生の瞬間の、え?文化祭?みたいなくだりとか、流石にブライアン・メイはしゃぎ過ぎだろ、と突っ込んでみる
ボサノヴァ

ボサノヴァ