Inagaquilala

ボヘミアン・ラプソディのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
3.8
監督のブライアン・シンガーが、完成直前に、キャストやスタッフとの意見の相違から降板したという話は聞いていたが、逆にそれが功を奏したようにも思う。ひねりのないストーリー構成は、もはや「ユージュアル・サスペクツ」を世に送り出したブライアン・シンガーの作品とは言い難く(ハリウッドの協約で彼のクレジットになっているが)、感動の涙腺を搾り取る、まさに熱いドラマが展開する音楽映画となっていた。もし、最後まで、ブライアン・シンガーが関わっていたら、どんな作品になっていたかを想像しつつも、クイーンの耳に残るヒット曲バックに、フレディ・マーキュリーの数奇な人生を見せられると、否が応でも多少は心を動かされてします。

けっして熱心なクイーンのファンではなかったが、あらためて彼らの楽曲の偉大さを感じる作品でもある。数々のヒット曲の中から、あえて「ボヘミアン・ラプソディ」と名付けたタイトルも、フレディの人生に重ね合わせると妙にしっくり来る。そのあたりが、この作品のマジックでもある。ウェンブリーでのライブエイドの場面を、最初と最後に置いたのも、盛り上げるべきピークを知っているハリウッドの製作者の知恵かもしれない。本物そっくりに演じた俳優陣たちも、また素晴らしく、とくにフレディ・マーキュリー役の俳優さんのあまりのなりきりぶりには驚いた。とにかく予定外の大ヒットを続けているこの作品、降板したブライアン・シンガー監督はどう思っているのだろうか。
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