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ボヘミアン・ラプソディのjunjuoneのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
4.8
中2の時に初めてベストアルバムを聴いた衝撃以来、トップオブミュージックと言っても良いくらい崇拝していたクイーン。

その時既にフレディはこの世にいなかったが、ゲイでエイズになって死んだんだという話を同級生から聞いた時は少年心には少々ショックで顔を歪めた記憶がある。


ディーコンのポロンポロンと朝露が転がるように軽くハープのように美しいベースの音質とメロディの存在感、
メイの暖炉の木の手作りギターから出る少しハスキーかつしっとりのびやかな音の厚み、
テイラーの超絶的というより名指揮者のようなスティック捌きの重すぎないドラム音を正確な高音コーラスと共に。
これにフレディの歌声が合わさると、とても4人だけで作り出してるとは思えないサウンドと音楽性の幅の豊かさがあり、他のどのロックバンドとも風味が一味も二味も違った。
映画を観てまず、紛れもなくこの4人で制作・表現されているあの名曲の数々だということが改めて知れて、とても嬉しかった。


ゲイのエピソードにストレートに触れてきたので、ああ、やはり周知の事実だったんだ、と身構えるのも束の間、ザンジバル出身、ゾロアスター教にルーツを持ち、多歯症で出っ歯で口腔内が広く音域が広いなど、知らなかった特異なエピソードが次々に出てきた。
何から何まで異形の人、フレディ。夜な夜な異人たちと罰当たりなほど異形のパーティーにふける。

その中でメイ、テイラー、ディーコンという大人たちが知的で立派なこと。何があってもフレディを受け入れて一緒に前に進む。
フレディがこれだけ破天荒とは知らなかったが、それでもバンド・クイーンに対して抱くイメージがとてもクリーンなのは、3人の包容力と協調性がもたらしていたんだなというもの感じれてこれまた嬉しかった。


ライブエイドでのコールアンドレスポンス、Ay-Oh!のシーンで舞台袖で見ているメアリーのワクワクしてテンションが上がりまくってる笑顔が最高に好きなシーンです。

あと Radio Ga Ga がこんなに素晴らしい曲だったとは知りませんでした。昔アルバム聴くときいつもskipしてました。すいません。
この映画3回劇場で観ましたが、平日の夜遅くに15人くらいしか入ってない応援上映の会でもRadio Ga Gaだけは手拍子鳴らしてました。


フレディの歌声、中学時代からCDを聴いてたまに感じていたのは、時に高音域で歌声がひとりでに共鳴することがあること。
アンダープレッシャーの"〜gets me higher,higher,higher..."のところなど分かりやすいが、あくまで録音のエフェクトでやっているものと思っていた。
しかしライブエイドでのAy-Oh!のシーンでフレディの歌声が、カーン!と空に飛び出して暴れていたのを見て、声ってこういうこと起こるんだ、と身震いした。
文字通りウェンブリーの天井いや天空を突き破った瞬間だった。


この映画観てから自分も歌が上手くなった気になり、最近カラオケでは中2の時には高くて歌えてなかったクイーンの曲ばかり歌っている。
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