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ボヘミアン・ラプソディのymdのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
4.2
クイーンは今まで聴く機会に恵まれていなかったというか、逆にテレビなんかで有名曲のいくつかを聴きすぎていたからなのか、ほとんどスルーしてきてしまったし、エキセントリックなバンドというイメージしかなかったんだんけど、超話題作だったしいつかは観ようと思っていてついに鑑賞。

ブライアン・メイとロジャー・テイラーが制作に深く関わっているようで、彼らがいかにフレディ・マーキュリーという人を愛し、4人のクイーンを愛していたかを全編を通して訴えかける、力強い音楽映画だった。

クイーンの音楽性は特殊で独自性の高いものだと思うけど、結局はフレディ・マーキュリーのあの歌唱あってこそだと思うし、ポール・ロジャースもアダム・ランバートも巧いけど、また別物なのは仕方ないことか。

そのフレディの生涯を追った本作は、彼のコンプレックスであった出自(と名前)や複雑なアイデンティティ、成功と堕落などをテンポ良く見せていく。数十年分の人生を2時間で説明していくわけなので性急にならざるを得ないけれど、それほど強引さや雑さは感じずに綺麗にまとまっている。

適度にフィクションを加えているのかな?真意は調べていないので適当だけど、展開は小気味良いし、映画のフィナーレを飾るあの有名なライブエイドに至るまでの道程なんかも情熱的で。

そしてそのラスト20分がこの映画の全てを物語っているし、そこに至る過程を助走的に見せる作りでカタルシスを呼ぶ構成はイルミネーション・エンターテインメントの『シング』とか、音楽コミック『ブルージャイアント』(超傑作!!)とかに通じるものがあるし、音楽映画として圧倒的なエモーションが炸裂している。

誰もが夢中になれるエンタメ性を持つ人間賛歌であった。
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