emily

ロング,ロングバケーションのemilyのレビュー・感想・評価

3.8
アルツハイマーが進行中の元教授で夫のジョンと末期ガンに侵されてるツマのエラ。残り少ない時間を二人で過ごすため、ジョンが敬愛するヘミングウェイが暮らしていた家のあるキーウエストを目指し、キャンピングカーに乗り二人思い出を語りながら旅に出る。

ささいな会話と、陽気な音楽 。時に全てがわからなくなるジョンと病に侵されてて痛みに耐えてるエラ。二人の旅は辛気臭いものでも、辛い現実に向き合うものでもない。今を嘆くのではなく、それを精一杯楽しもうとしてる。残り少ない時間しかないのではなく、残り少なくともいま一緒にいる時間がある。おねしょしても行方不明になっても、癌で苦しくても、二人を見守る視点はいつだってユーモアと愛が溢れてる。

二人の旅立ちは悲しいものに感じない。二人で過ごせたバカンスで巡った思い出と共に旅立つ二人の笑顔がみえる。夫婦が夫婦で最後まで寄り添える。これ以上幸せなことがあるだろうか。悲しさより、いとしさと前向きな気分にしてくれる作品だ。
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