たいりょう

ロング,ロングバケーションのたいりょうのレビュー・感想・評価

3.9
#映画感想
認知症の夫と末期がんの妻が、ヘミングウェイの家があるキーウェストを目指す高齢者ロードムービー。

夫の認知症は重度で、昨日どころか直前の会話も忘れるし、いきなり歳が若返って過去の恋敵に嫉妬しまくったり。
その度に妻は呆れたり怒ったり、それでも変わらぬ愛で支える。

旅先の途中で立ち寄る老人ホームでのエピソード(かつて自分に想いを寄せていた男が認知症で自分の事を忘れているのに腹を立てたり、かつての浮気?が発覚して怒りに任せて夫を置いていったり)でクスッとしたり、現実はかなり厳しいにも関わらず、どこか微笑ましい。

いくら認知症で2人の思い出を忘れたとしても、それを失うわけじゃない。長い時間を2人で過ごしたからこそ出せる空気。スライドショーを見ながら思い出を語り合うシーンは切ないよ。
その積み重ねがあったから、予想外のラストもこの2人ならありなのかなって思える。

重いテーマから逃げることなく、それでいて映画として必要以上に息苦しくなることのない、心に残る映画だと思う。
たいりょう

たいりょう