マクガフィン

テルマのマクガフィンのレビュー・感想・評価

テルマ(2017年製作の映画)
3.2
「マイ・プレシャス・リスト」同様に、ポスターの表情が印象的だが、役者のイメージが少し違うことも同様に。

信心深く厳格な両親、抑圧からの開放のメタ描写が強烈に。欲望と背徳感に苛まれる同性愛のジレンマ、愛の希求、サイキックな能力による運命に振り回される模様が切ない。

突然の発作がトリガーとなり、少女が変異するミステリと幻想的で鬱屈な情景描写が効果的に融合することが巧みに。しかし、キリスト教に詳しい方が理解が深まる作品だろう。宗教・文化的な理解度の違いによる深淵の差が生じるのが残念で、理解が及ばない箇所や冗長もチラホラ混じる。

北欧映画特有なスローテンポと独自な雰囲気からか、相乗する狂気が足りないようにも。題材の面白さに対しての物足りなさも感じたが興味は尽きなく、異彩を放つ展開からの、ラストの味わい深い表情による強烈な余韻が残る幕引きに、何とも言えない感情が押し寄せる。