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テルマのmitakosamaのレビュー・感想・評価

テルマ(2017年製作の映画)
3.4
サイコサスペンスとでも言ったら良いジャンルかな?ホラーではないね。
ダンサーインザダークのラースフォントリアーの甥っ子との事なのでどんな鬱映画かとも思ったが、そこも杞憂だった。

ノルウェーの大学生のテルマ。実家は敬虔なクリスチャンで抑圧されて生きてきた。原因不明の痙攣。同級生との同性愛的友情。
で、幼少時に父親に薬で押さえつけられていた能力に再び目覚めることになる。

かなりユッタリ目の物語展開だが決して退屈ではない。
やっぱりこの物語の面白いのがさ、キリスト教徒の抑圧を前提にしている所だよ。クリスチャンの両親の両親に反発するということ。それは要は反キリスト=悪魔的な能力。

例えば図書室で窓ガラスにカラスがぶつかってくる描写なんか、あからさまに“悪魔的”なキーワードである。
また中世の魔女狩りにも触れてるシーンもある。

でもこの映画の中ではテルマの持つ能力に関して、一切“悪魔”という表現をしていない。でもサブリミナル的に悪魔的な記号が差込まれているのがポイント。

そして、同性愛もキリスト教的観念から見たら神への背徳行為。
だからこそ、この映画の同性愛描写は倒錯的で官能美に溢れている。

この映画の対比となるのが“キリスト教”であることが、見落としてはならない所だと思う。かなり“計算高い”作り方をした映画だと思ったな。
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