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テルマのレクのレビュー・感想・評価

テルマ(2017年製作の映画)
3.5
大人へと成長する過程、思春期の不安定な心の変容、キリスト教への深い信仰心に親の抑圧と背徳感、自分の過去と超能力の発作、様々な要素が相俟って危うく、いつ崩れ落ちてもおかしくない不穏な日常を見せる。

そんな息の詰まる日常にもどこか清々しささえ感じてしまう。
トリアーの遺伝子を引き継いだであろうセンスは凄いが、演出に凝りすぎて心理描写が希薄に見えてしまうのが勿体無いところではある。

親離れは閉鎖的空間からの解放。
恋は大人への成長、思春期。
酒や煙草は規則違反。
そして、同性愛はキリスト教における罪。
遅めの反抗期のように、キリストの教えと本能的欲望が対立する。
自己が抱える世界の殻からの脱皮は未来は自分の手で切り開くものだというメッセージとも取れる。
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