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テルマの小のレビュー・感想・評価

テルマ(2017年製作の映画)
4.2
ホラー映画というと、静まりかえっていたところでの大きな音とか、突然のゾンビ登場にビックリに身構えつつ…、とかいうとお化け屋敷そのものだけど、要はスリルが主で、ストーリーが従というB級映画的なものが自分のイメージだったようだ。

本作は観終わった後、何だかよくわからなかった。多分、驚かないよう心の準備をしつつ、無意識のうちに<“超自然的で邪悪な魔女から、普通の人々がいかに身を守るか”>といった<ノルウェーのありふれたホラー映画の定形>のようなストーリーを思い描いていたのだと思う。
(https://horror2.jp/26030)

だから、<ホラーの要素が、人間的な深い問いかけにつながりを持つ><人の心理とつながりのあるホラー>である本作のことが良く理解できなかった。

キリスト教への信仰によってテルマを強く抑圧する両親。そのせいで無意識のうちに自分の欲望を抑圧し、自分が何者かわからず、コントロールできない自分自身を怖れるテルマ。やがて無意識へと抑圧した欲望が表出し、<自分の人生のコントロールを取り始め>る。

ホラーという要素を取っ払って考えれば、見覚えのあるキッチリしたヒューマンドラマ。テルマが親の愛という名の支配から脱し成長したのか、それとも破壊されたのか…。人生って、ホラーですな。

●物語(50%×4.0):2.00
・「ホラー」プラス「実存」の物語と理解したら、興味が出てきた。リメイクの決定した米国版も観たい。キリスト教知識があれば伏線も楽しいらしい。

●演技、演出(30%×4.5):1.35
・良かったです。

●画、音、音楽(20%×4.0):0.80
・映像とか結構好きかも。
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