RUKA

テルマのRUKAのレビュー・感想・評価

テルマ(2017年製作の映画)
4.1
面白かった。冒頭の幼少期のシーンが衝撃すぎて一体どういうことなの!?とここで既に物語に引き込まれて、いや引きずりこまれていた。

この少女、何かがおかしい。
うっすらとそんな雰囲気がずっと漂っているけどそれがなんなのか具体的には分からない。
この不穏な空気感が違和感あるのになぜか妙に心地よかったりもして、なんだろう不思議な感覚だった。

テルマとアンニャ、この2人のシーンが絶妙に全部よかった。
テルマが恋をして少女から大人になっていく姿が、表情が、行動が、全てが繊細で妖艶で美しい。描写がすごくいい。こっちまでドキッとする表情や息遣い。
2人の恋に「怖い」という感情すら生まれてきてしまう。ホラー的な怖さじゃない。美しすぎて怖い。好きすぎて怖い、というある意味誰もが通る道とも言える、自分の理性とか感情とかを通り越した領域を見せてくれる。演技や映像美だけで。
第三者目線ではなく自分が登場人物に憑依したような錯覚に陥るほど映像に引き込まれる。それも無自覚のうちに。凄すぎる。
ここで魅せてくれたからこそ終盤がもっと活きてくるなぁと思った。

何かおかしいと感じていた部分が後半で明らかになってきたとき、わざわざ小難しい設定ではなくそれが意外に単純明確でよかった。
何よりもよかったのがラストの終わり方。
多分もっと前のシーンでぶち切って曖昧にしてラストは皆さんの捉え方次第です、的な感じにすることもできただろう。そういう映画って最近多いし。でもきちんと最後の最後まで分かりやすく見せてくれてまさに絶妙なタイミングでの終わりだった。最高。

このラストがハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、そんなことはもはやどっちでもいい。
抑圧から解放され自由を手に入れたいま、全てはもうテルマの意のままだ。
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