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ちはやふる ー結びーのだあのレビュー・感想・評価

ちはやふる ー結びー(2018年製作の映画)
5.0
自身の中では間違いなく過去最高の映画作品といえる、ちはやふる3部作の完結作。
大人気漫画の実写版という大衆の期待を大きく超え、原作の良さを活かしつつ、映画ならではの最高の結末に持っていったのはまさに圧巻としか言いようがない。元は2部作とする予定だったこの実写版は、2部作目の公開間近で突如3部作とすることが決まったというが、本作が全く蛇足とならず、むしろ前2作のエピソードを活かしつつ、自然な展開で納得のできる「結び」に仕上げたことには驚きを隠せず、監督・脚本を手掛けた小泉徳宏には惜しみない賛辞を送りたい。
競技かるたに情熱を捧げる女子高生・綾瀬千早を見事に演じきった広瀬すずの迫力は、まるで役者でなく人間としての彼女本人から湧き出ているようで、観ていて圧倒すらされる。
周りを取り囲む野村周平、新田真剣佑、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希、松岡茉優ら若手俳優陣の演技も素晴らしく、競技かるたに青春のエネルギーのすべてを注ぎ込む彼らの姿はとてもまぶしい。前作(下の句)から2年の月日が流れたという設定だが、それがちょうど彼ら俳優陣自身の積み重ねた2年分の経験と絶妙にリンクし、前作までよりもそれぞれ2年分成長した姿を見せているのがまた感慨深い。
本作からの登場となった、一見ふざけているようで実はかるたという競技の真髄を体得している絶対的王者・周防を演じた賀来賢人、藤岡東高校かるた部員としては新とコミカルな恋愛関係を展開しながらも、千早を過去のクイーン位挑戦者決定戦で破るほどの実力者であり、クライマックスの全国大会決勝戦では千早との再戦で闘志をむき出しにするほどの気迫あふれる若き準クイーン・我妻伊織を演じた清原果耶も、連部作に途中登場した若手俳優とは思えないほどの存在感が素晴らしい。
音楽には若手劇伴作曲家として実力のある横山克を起用し、その楽曲はいまなお様々な番組でBGMとして使用されるほど印象的で、作品の素晴らしさを一層際立たせている。
どうせ実写版だから、と観るのを躊躇っている方にも、ぜひ一度本作品を鑑賞してほしい。実写化でも、原作ならではのおもしろさと実写版としてのオリジナリティをこれほどうまく調和させた本作品は、非常に珍しい例といえるのではないだろうか。
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