Masato

ちはやふる ー結びーのMasatoのレビュー・感想・評価

ちはやふる ー結びー(2018年製作の映画)
3.9
結ぶ。そして、託す

ちはやふるシリーズ3作目にして完結編

前作二部作は、「上の句」が学園青春要素にシフトしていて、「下の句」が上の句で充分に掘り下げたバックグラウンドを背景にスポ根要素にシフトした作りになっていた。

今作はその2つの要素を129分にバランスよく配分し、1つの作品に収めようとしていた。結果、やや不満はあるものの、うまくやってくれたと思う。

シリーズを通して感心するのは、演出のうまさ。コメディシーンのBGMが安っぽかったり、スローモーションがややくどく感じる部分はあるものの、かるた勝負のシーンは息が止まるような無音のシーンを使ったりして、さながらボクシング映画を見ているよう。それなのに、青春の瑞々しさや映画全体の上品さを損なわせないやり方が巧い。過激な競技としての「かるた」と古典的な意味合いの「かるた」の二面性が良く活かされた演出。そして、ラストシーンの演出は素晴らしい。鳥肌がたった。

ストーリーに関して、あらかた既存キャラで構成されているせいでスポ根ものにシフトしがちなストーリー展開を、新入部員を入れることで青春要素を付け足し、さらに、かるた部内をかき乱す役割としてもうまく果たされており、そのおかげか「上の句」の机くんの時のような、展開を再び取り入れることに成功している。しかし、新入部員がただそれだけの役割になってしまっており、バックグラウンドが描かれないということがやや不満ではあるが、尺の関係上省いたのであろうと考えられる。

前作同様、ストーリーの流れは王道的ではあるが、王道だからこそ安心して見れた。そして、勉学との両立など、これぞ受験を控えた3年生の苦悩と言わんばかりの現実とスポーツに打ち込む青春を描く。そして、名言めいた台詞回しも後押しして、これが青春かと思わされた。自分も何か1つに打ち込んでいたらと後悔。こんな青春がしたかった。なにより、自分の意志を次の世代へと託していくというのが、なんとも言えない。

もう映画館でちはやふるが見れないのかと惜しむ感情が後に残ります。それほど、この映画は後を引く素晴らしい良作だと思います。


主観的評価 40点
客観的評価 40点
80点
Masato

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