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ちはやふる ー結びーのkassyのレビュー・感想・評価

ちはやふる ー結びー(2018年製作の映画)
3.8
上の句、下の句と来て、本作結び。

上の句の素晴らしかった点をきちんと結びが踏襲しており、見ながら思わず
「ちはやふるが帰ってきた」
と感動した。

上の句で自分が素晴らしいと思ったのは、きちんとかるたの句をベースとしたストーリーを作っていた事である。句の意味をきちんと説明し、その句が大切な山場において重要な意味を持つ。
それが、この結びでもきちんとなされていた。
「しのぶれど」「こいすちょう」
この映画を見たら、この2つの意味や背景をしっかり頭に記憶される事だろう。

見ているだけで競技かるたの素晴らしさをきちんとわかる事が出来る。
これがこの作品の素晴らしさだとつくづく思う。

そして熱い青春の物語は、青春が過ぎ去った人にも、今青春を過ごしている人にもきっと刺さるはずだ。
その時を過ごしているときには気づかない。その瞬間がどれだけ尊い物かを。
だからこそこの物語は眩く感じられる。
個人的には瑞沢に負けていった高校生達の熱い気持ちにも感動した。

漫画本編でも太一がもはや主役かのように成長ストーリーが描かれているが、映画でもまた主役は太一だった。
太一と周防さんの師弟関係は漫画さながらで良かった。
周防さんが太一にかけるメッセージは大人だからこそ響くものがあった。

個人的には太一がかるた部を離れる下りとまた再開する下りは映画だけを見た人にきちんと伝わっているのか若干の不安はあるのだが。
もっとずるくて弱さもある太一。映画の方が爽やかかもしれない。むしろ、ラストの結末は映画の方が丸く収まっていて少しせつなさすらある。

色々な改編はあるが、やはりあの長いストーリーをよくまとめて映画化しているなぁと思わせてくれる作品である。

かるたが永遠に残り続けているように、本作も広瀬すずをはじめとした若手俳優たちの青春の輝きをあますことなく無限の未来に残している。
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