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ちはやふる ー結びーのYoliceのレビュー・感想・評価

ちはやふる ー結びー(2018年製作の映画)
4.2
それぞれの未来へーーー


ちはやふるが、瑞沢高校かるた部が、満を持してスクリーンに帰ってきました
それだけでもう泣いてしまいそうな、かつては高校生だったこともあった人間がここにも1人います

かるた部創部から団体戦を通してチームとしてひとつになるまでを描いた"上の句"と"下の句"から時は流れ、今作では高校生活最後の戦いを描いています
高校生としての最後の夏がメインとなっていて、詩暢ちゃんが無双するシーンを期待していた身としては少し残念ではありましたが、それでもここには最高の青春が広がっていました、もう満腹です

今回は周防名人(東大)、準クイーンの我妻伊織(藤岡東高校)、そして瑞沢の新入生として筑波くんと菫ちゃんが初登場

藤岡東の我妻伊織ちゃんは映画オリジナルのキャラクターで、新の後輩、そして準クイーンとして千早の前に立ちはだかるなかなかインパクトが強い役どころ
原作ファンとしては映画オリジナルということで鑑賞前はちょっと不安でしたが、いざ蓋を開けてみるとすっかり溶け込んでいてとてもいい味を出していました

周防名人は原作通り怪物並みの強さとふとしたときのシュールさが原作そのままで感激してしまいました
"かるたが大好きな人"達とは対照的に、それでも自分なりの向き合い方をしていく、物語に深みを与えてくれる存在

瑞沢の新入部員の2人、菫ちゃんはイメージそのままの女子らしい女の子でしたが、筑波くんがかるたが強いおまけに自我までに強い系男子に大変身しててとっっってもびっくりしました
原作の筑波くんファンには受け入れられないかもしれませんが、映画の尺の都合上先輩達に反抗する後輩ポジがいないので、これはこれで映画としてまとめていくうえでは必要な変化だったのではないかと思ってみたり

初登場のキャラクター達に関してはここまでにしまして
やはり今回の見どころは太一ではないでしょうか
原作を読んでいる方なら知っているかと思いますが、時系列的には太一が今まで背負い込んできたたくさんの荷に耐えきれなくなります
ネタバレしちゃいそうで怖いのであまり詳しくは語りませんが、周りの人達がいるのが好きだからこそ、気持ちのベクトルや大きさが違えど必死に人一倍頑張る、そしてある日ふと自分を見失ってしまうーーー きっと人生を生きていく中で形は違えどこんな経験をすることもあるのではないでしょうか
そんな感情の起伏を場面の節々で見せてくれた野村周平くんの演技には脱帽です

最後の夏に向け仲間と向き合い、自分と向き合い、そして高校という節目を終えたあとの未来と向き合い始める
笑顔と涙と思い出が詰まった、こんなにも素敵な青春の物語を私たちに見せてくれた監督、キャスト、関係者の方々には感謝しかないです
みんな卒業おめでとう

"たいていのチャンスのドアにはノブがない。自分からは開けられない。誰かが開けてくれたときに、飛び込んでいけるかどうか"
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