このレビューはネタバレを含みます
X-MEN作品に通底する「疎外感」、「孤独感」の描き方が好き。
あらゆるものから拒絶され、傷ついた人は誰かから救いの手を差し伸べられたとしても、これまで自分がされたのと同じように拒絶してしまう。
最後チャールズの謝罪と説得を受け入れたジーンの「許し」がこの物語を解決に導くけど、それはジーンがある意味妥協出来る心の持ち主だったからだと思う。(自分を捨てた父親とは違う、X-MENという血の繋がりを超えた家族への「愛」がジーンを動かしたとも言えるけれど、)ここで私は結局のところ世界を救うのは「愛」ではなく「許容」なんだと感じた。
ジェシカ・チャスティン演じるヴークは遥か彼方の星からやって来たエイリアンで、元の不気味な姿と感情の無さから、X-MENが問答無用で倒しにかかるには格好の敵役だったと思う。でも、彼女たちにとって宇宙全体と自分たちの種族を守るために人類を滅ぼすことは善の行動だった。
なのでX-MENが今回エイリアンたちをバンバン倒していくのって、結局これまでミュータントが人間からされて来たことを繰り返しているように思えた。更に言えば、ミュータントという自分の種族、仲間を守るためであれば人間を殺すことを厭わないマグニートーと同じことをX-MENは繰り返してしまっているように感じられた。
X-MENはあんまり学んでいないんじゃないか...。でもそんな完璧ではない矛盾さえ孕んでいるヒーロー像に心惹かれてしまう。