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ランペイジ 巨獣大乱闘のマクガフィンのレビュー・感想・評価

ランペイジ 巨獣大乱闘(2018年製作の映画)
3.5
遺伝子実験の失敗により、ゴリラ、オオカミ、ワニなどの動物たちが巨大化して狂暴化する怪獣パニックアクション映画。

冒頭の、宇宙空間の無重力の設定に感心する。未知な生物に狙われる生死の狭間に悪徳企業の非常な命令からの脱出。脱出したが失敗して、未知の生物ならぬ、未知の遺伝子実験が地球に飛来するSF的なアプローチが効果的で、没頭する。

違法の遺伝子操作実験を宇宙でして、それを軍事ビジネスで金儲けを企む悪徳企業による利己的な犠牲になったのが、白ゴリラのジョージとオオカミとワニ。一見、シリアスになりがちな怪獣パニック映画で、コミカルを挟むバランスのとり入れ方が難しい所を、白ゴリラとの下品な下ネタ手話で中和する。これは好みが分かれると思うが、エンタメとしては効果絶大に。ゴリラのような超ガチマッチョなロック様が動物学者という設定自体の違和感がもはやギャグ的で、同族的な白ゴリラとの手話や友情に妙な説得力とジワジワくるコミカルさが相まみれる。

時折、突っ込みどころはあるが、それでも細かなプロットを丁寧に積み重ねる作品の構築が上手く、DNA操作や密猟の問題提起も、物語に全く邪魔にならない程度に取り入れることが上手い。
最初はいけ好かないCIAの人がロック様たちの行動と熱意に打たれて協力する模様も作品に味をもたらし、シカゴや軍隊のパニックとは真逆な、達観しているかのような落ち着き払った冷静な佇まいが印象的に。

次第にテイストが変わる構成も効果的で飽きがこなく、後半は、巨大化した動物がシカゴで破壊を繰り広げる。ただ無意味に暴れまくるだけでなく、ある目的をもって、ある場所に向かうので躍動感と疾走感がある。軍隊が全く相手にならないので、最終手段の核攻撃の準備するタイムリミット系ミッションを取り込む設定も抜かりない。

幼少の白ゴリラを密猟者から助けたプロットや悪徳企業の悪徳女社長などの、人間の利己的な失態が効果的で、シカゴのビルや市街の破壊にカタルシスを感じ、爽快感が込み上がる。
ロック様が白ゴリラの凶暴性を取り除くために奮闘することや、共闘するシーンは、胸アツでもあり、エモ的にも。過去のトラウマからロック様の人間同志の付き合いが億劫になったことを克服する、女との友情が芽生えることを取り入れる上手さと、そのことを心配していた白ゴリラのやさしさの奥深さに感心する。

全く期待していなかったが、ツッコミ所を大きく上回る飽きがこない楽しさと熟考された構成・編集・ディテールに驚く。あれこれ考えなくても、怪獣映画としてもパニック映画としても普及点を上回るので、単純に唯々諾々に受け入れて楽しんでも善し。