シネマ小僧

トレイン・ミッションのシネマ小僧のレビュー・感想・評価

トレイン・ミッション(2018年製作の映画)
3.5
通勤列車や地下鉄、あるいは貨物列車を扱った作品はハリウッドのお家芸と言っても過言ではないが、ひとつのジャンルとして確立され作品数も多く出尽くした感がある。本作では保険会社を解雇された60歳の通勤サラリーマン(元警察官)をリーアム・ニーソンが演じ、その領域に挑む。日本の通勤列車とは違い本作の列車内はデンジャラスで絶対に乗りたくない陰湿で重苦しい雰囲気に満たされていた。たぶん本編冒頭、主役リーアムに接触する「謎の女」登場のために作られた演出であろう。この謎の女、出演時間わずか数分にも関わらず圧倒的な存在感で本編を極上のサスペンスへ誘う力がある。観客は初っ端から監督の手中に引きずり込まれてしまう。そして当然ながらリーアムが主役を務めるからには派手なアクションがおまけに付いてくる、常識では有り得ない不死身の男として観客を楽しませてくれる。しかし今回はやり過ぎです!あなたはスティーヴン・セガールやシュワちゃん、スタローンではないのだから年相応に演じてほしいしし、彼らとは一線を画す渋い俳優でいてください。ただ残念な点もある。事件の全容が分からずじまいで映画が終わる事にある。そこがミソなんだとお叱りを受けるかもしれないが、私は腑に落ちないのである。
シネマ小僧

シネマ小僧