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トレイン・ミッションのYYamadaのレビュー・感想・評価

トレイン・ミッション(2018年製作の映画)
3.7
【アクション映画のススメ】
〈ジャンル定義への当てはめ〉
 ○: 心理描写より外面的な動作を重視
 ▲: 格闘・戦闘を解決の糸口とする

◆作品名:
トレイン・ミッション (2018)
◆アクション映画のジャンル
現代劇 / 列車乗客から特定者を探せ
◆類似作品
・フライト・プラン
・ミッション・エイト・ミニッツ

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・10年間勤めてきた会社から突然、解雇を宣告された60歳の保険セールスマンのマイケルは、失意の中、いつもの電車で帰路につくが、車内で見知らぬ女性から話しかけられる。
・女性は、電車が終点に到着するまでの間に、100人の乗客から1人のある人物を見つけ出せば、マイケルに多額の報酬を払うという。妻が人質に取られていることが発覚し、女性からの依頼を受けざるを得なくなったマイケルは、絶体絶命の状況下で1人の人物を見つけ出そうとするが…。

〈見処〉
①この謎(ミッション)が解けるか?
・『トレイン・ミッション』(原題: The Commuter)は、2018年に製作されたサスペンス・アクション。
・監督ジャウム・コレット=セラ、主演リーアム・ニーソンのタッグは『アンノウン』『フライト・ゲーム』『ラン・オールナイト』に続き、本作が4度目となる。
・リアルタイムで進行中…終点までの通勤時間(約80分)がタイムリミット。本作は、
唐突にリストラされた60歳の男性が、 失意のなか乗車した帰路の通勤電車で、大きな事件に巻き込まれ、、元警官のスキルを駆使して奮闘するリアルタイム・サスペンス。
・共演は『エスター』のヴェラ・ファーミガ、『パッセンジャーズ』のパトリック・ウィルソン、『ベター・コール・ソウル』のジョナサン・バンクス、『ジュラシックパーク』のサム・ニール。

②巨大な密室空間
・本作の舞台は、ニューヨーク州マンハッタンから郊外に向かう通勤電車。
・まさに「巨大な密室空間」となる7両編成の通勤電車の撮影の95%は、イギリスの映画スタジオに設置された屋内セットにて行われた。
・その撮影手法は、ジャウム・コレット=セラ監督の周到な仕掛けによるもの。わずか1.5両分の車両セットを有効活用するため、毎日の撮影が終わると、美術スタッフが翌日の撮影対象となる車両に内装を変更。折り畳み式の車両セットの一部の壁や屋根を外した撮影が行われた。
・また、列車速度に合わせた違和感のない車窓風景との合成、光量・光彩の加減により、動いている列車だと感じさせるための工夫がなされている。

③ジャウム・コレット=セラ
・盟友リーアム・ニーソンが「スピルバーグのように、作品の全体像が見えている稀有な存在」と評価するジャウム・コレット=セラは、1974年にバルセロナにて生まれたスペイン人監督。
・18歳の時に映画監督を志して、ロサンゼルスに転居したことに始まった彼のクリエイティブ活動の第一歩は、2005年に『マトリックス』を手掛けた大物プロデューサー、ジョエル・シルバーに抜擢されてメガホンをとった『蝋人形の館』。同作品は『Twenty-four』のエリシャ・カスバートが主演し、商業的には成功を収める。
・続くFIFA公認映画『GOAL!2』(2007)、『エスター』(2009)にて、一定の評価を得たセラ監督は、2011年にリーアム・ニーソン主演の『アンノウン』をにより、高い評価を受ける。
・近年は『ジャングル・クルーズ』(2021)、『ブラックアダム』(2022)と大作が続く、人気監督となったジャウム・コレット=セラであるが、彼のステップアップの源流は、リーアム・ニーソンと取り組んだアクション・サスペンス4作にある。

④結び…本作の見処は?
リーアム家族は、誘拐され過ぎ
◎: リアルタイムで進行するコンセプトが秀逸。冒頭の掴みも良く、中盤以降の乗客探しの緊張感は、ヒッチコック作品のような良質のサスペンス。
○: 高額予算の作品でなないが、特殊効果は見どころ。序盤の7両の車両空間を一気通貫で見せるシーンは印象的であり、終盤の大事故シーンは、パニック映画ばりの大迫力。
▲: 65歳となった本作のリーアムは、少々お疲れ気味。加齢も目立ち、無双的な展開がないのが寂しい。
▲: どのように車両内部の仕掛けを配置したかなど、穴だらけの展開や、グダグダ気味の終盤もヒッチコック作品に共通。特定の乗客を守るために、他の乗客たちが庇うシーンは、感動よりもダチョウ倶楽部のイメージが勝る。
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