さききち

坂道のアポロンのさききちのレビュー・感想・評価

坂道のアポロン(2017年製作の映画)
3.1
『69 sixty nine』『釣りバカ日誌16』ぶりの地元の映画。日本の西の外れ。佐世保という、坂道と海と基地の街。すごく楽しみにしていた。原作、アニメともに未見。

同じ佐世保の、同じ高校の、同じ時代を舞台にした村上龍×李 相日の『69 sixty nine』と比べると、綺麗で純朴で、ある意味フラットなストーリー。
ルサンチマンと性欲と有り余るエネルギーに満ちた同作の方が好きだと感じた俺は、紛れもなく、大人になってしまった。擦れた大人になってしまった。
そう考えて少し悲しくなった。

それでも、撮影はとても好きだった。
特に中盤以降は、油断しているとハッと息を飲むようなショット、画面構成、照明が飛び込んでくる。
口元のみを映しだす非人間的だが一方で触れると壊れそうなセンチメントなショット。
相似な背中を見守るかのようなショット。
運命が舞うかのような光彩。

印象的な坂道は、母校に続く坂道。
生徒たちの制服は、母校のそれ。
地元すぎる名所の、まさかの登場にも心踊る。
沢山の感情と共に、劇場を後にした。
2018年、3月16日。
さききち

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