せーじ

坂道のアポロンのせーじのレビュー・感想・評価

坂道のアポロン(2017年製作の映画)
3.4
120本目。これは今年の初めに予告で観てちょっと気になっていたものの、見逃してしまっていた作品。
レンタルして鑑賞したものの、残念ながら自分にはあまり響きませんでした。

とはいえ、セッションをしているシーンは軒並み素晴らしく、特に文化祭のシーンが圧巻で、しかも役者さんたちの身体性がしっかりと伴っている演奏だったので、思わず見入ってしまった。高校生があんな超絶的なテクニックを披露できるのかという問題は目を瞑るとしても、こういう美点があるだけでもすごく魅力的な作品になることに寄与していると思うし、何より役者さんたちの努力には頭を下げざるを得ない。

けれども、それ以外の"平場"のシーンの演出の駄目駄目さが、ことごとく足を引っ張っている様に感じてしまった。
そもそも、主人公たちが出会ってから打ち解けるまでの段階の踏み方が雑で、いきなり一足飛びに親密度が上がったような気がしてならなかった。この手の作品ではそこが一番大事なところなのに…
また「授業中に大声を出しても咎めない先生」だとか「主演の三人以外の生徒達の空気っぷり」だとか「子役の子供たちの演出のつけ方の上手くなさ」だとか「会話劇に参加していない、その場にいる人間が棒立ちになったままだったシーンがいくつかあったり」だとか、そういうスマートではない演出がことごとく作品全体の足を引っ張っていて、観ていてとても辛かったです…

音楽が絡むシーンはすごくいいだけに、非常に勿体ないな。残念だなと思ってしまいました。
(個人的にはこの作品、是枝裕和監督あたりの演出で観てみたいところです)
まぁでもNHKBSの番組「美の壺」のオープニングで流れていたジャズナンバーが「モーニン」という名前の曲であるということが知れたのは、自分としては大きな収穫だったと思います。ジャズの定番曲って聴いたことはあっても、タイトルが分からない曲ばかりだし、そもそもどこからCDを聴いていけばいいのか全く分からないので…(おい)
それと、ディーン・フジオカ氏がトランペットで無双しまくりますし、中村梅雀さんが弦楽器で無双するシーンもあるので、そちらを目当てに観るというのもいいのではないでしょうか。
…小松奈々さんが歌うシーンも観てみたかったんですけどね。
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