10ku0

リングの10ku0のレビュー・感想・評価

リング(1998年製作の映画)
4.0
Jホラーブームの先駆けであることはあまりに有名で、多分にもれずこの私もブームの始まりに乗っかって初日に勇んで観に行った。

思えば、TVを含めても日本のホラー映画をそれまで観たこともなかった私に、公開前に展開される番宣やCMで観てはいけないような恐ろしさを感じる反面で、予告だけでそれだけの恐怖感を煽る作品に何故か観たくなるほど刺さった。

予告で感じた以上の、まとわりつく間接的な恐ろしさは観なければ良かった、とんでもないものを世に出したものだと思ったものだ。

怖がらせる方法ではド定番の、音による効果も絶妙である。

よく分からない不気味な演出というのは心に不安と、その後に恐怖を植え付けるもので、呪いのビデオの映像が1番怖い。
ほっかむりをした男と思しき人物が、どこかを指差している画を中心にインパクト絶大。
意味不明なもので構成されたあれは、本当に見た我々も呪いがかかったんじゃないかとしばらく怖くなる。

呪いがかかった証拠でもある、顔が歪んだ写真など、ある意味貞子よりも不快感を煽るし怖すぎる。

あからさまな恐怖演出の度に、満席の狭いシアター内で叫び声がこだまする雰囲気を体感するのも初めてだったが、それだけ怖がらせることに成功していることを肌で感じた。

貞子がTVから出てくる描写は一見滑稽だが、前兆から聞こえてくる効果音や、弦を擦るような音を混ぜた音楽が手助けしていてやはり怖い。

なるほど、ビデオ版不幸の手紙か…(この当時はチェーンメールなどなかったので、そんなアナログな例え)子を守る為に、自分の親に犠牲になってもらおうとするとは…致し方ないが、その決断に、呪いによる死から逃れられない恐ろしさを覚える。

同時上映の『らせん』前に10分程の休憩があり、ロビーで感想を話すお客さんが大勢いたが
(とんでもないものを世に出したもんだ)とつくづく語る映画通っぽい男性が話してたことを思い出す。
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