TakeshiKaneko

劇場版シネマ狂想曲 名古屋映画館革命のTakeshiKanekoのレビュー・感想・評価

4.2
この映画を観るのは2回目。
今回は名古屋ローカルのテレビ局制作のコロナに翻弄されるミニシアターのドキュメンタリーとの併映。
どちらも、名古屋のミニシアター「シネマスコーレ」と副支配人の坪井さんを追いかけたもの。

映画、そして映画館への愛に満ち溢れ、呆れるほど(ほめてます)の熱狂をみせてくれた『劇場版シネマ狂想曲』に対し、併映のドキュメンタリーは、コロナ禍でまさに土俵際に追い詰められ、憔悴しきった姿で劇場運営する坪井さんとスタッフを映し出す。

2本目は深刻なエンディングではあったが、この両作のギャップが坪井さんをはじめシネマスコーレスタッフの映画愛と執念、そして映画監督や役者、ファンのスコーレ愛を浮かび上がらせていたように感じた。
なんとも対照的な2本の取り合わせが相乗効果を生み、まさにその現場で観ていて、この上映がこんなに愛しく感じられるとは。

これにはさらにエピソードがある。
上映後に俳優の斎藤工さんのリモートトークショーがあって、そこでびっくりすることが起こった。
斎藤工さんが、
提案があるんですが、と前置きしたあと、
「明日からの一週間、シネマスコーレの空いた一席づつ買いたいんですが」と。
「具体的に迅速に何かアクションを起こしたかった」とも。
その突然の提案にトーク相手の副支配人
坪井さんも唖然として言葉につまっていた。

トーク内容も含め、斎藤工さんは、映画と映画館の今と未来を真剣に考えているんだと感じた。
斎藤さんにとって金額としては大した額ではないかもしれないけど、名古屋の50席程度の映画館にこんなことをしてくれるなんて、と観客席の僕らも感激だった。

これが、日本中に広がってほしいとも言っていて、
「斎藤工カッケー! 」と、スコーレ内の観客全員が心の中で叫んだはず。
(その後、斎藤さんの提案どおり、一週間全作品の一席分購入となりました)


いろいろあって、
かなり思い出深い映画鑑賞の日となったのは言うまでもない。
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