じぇれ

劇場版シネマ狂想曲 名古屋映画館革命のじぇれのレビュー・感想・評価

3.0
【人物を描くとは?】

名古屋のミニシアターの名物副支配人を追ったドキュメンタリー。

被写体である坪井篤史さんは、とにかく映画が好きな男。その少々過剰な映画愛を面白可笑しく描いていて、クスクス笑いが満載。

しかし、このドキュメンタリーは本当に坪井篤史という偏執的な映画狂人の本質に迫れたのでしょうか?
私には表層をすくっただけとしか感じられず、ドキュメンタリーとしては不満を感じました。

というのも、上映後行われたトークショーでの坪井篤史さんを見てしまうと、そんな単純な男じゃないぞという思いを抱かざるを得なかったのです。

思いが強すぎて、時にキレてしまう男であり、
その直後に泣いてしまう男であり、
もしお嬢さんが望まなくなれば、今の仕事のやり方を改めると考える男であり、
前田弘二監督に対しては、自己中心的な思考をぶつけてしまう男であり、
宇野祥平さんに対しては、そういうことをしちゃまずいと計算できる男であり、
etc......

そう、これら全てが坪井篤史という男であり、その欠点も含めて彼の魅力に繋がっているのです。
約300時間もの素材があるのなら、もう少し踏み込んでもよかったのではないでしょうか。

とはいえ、こんなに映画愛に溢れた人がいるミニシアターがあるなんて、名古屋の方々が羨ましく感じました。

※私は、坪井篤史さんのことをあまり知らない状態で、本作を鑑賞しました。
劇場やネットで坪井さんのキャラクターをよく知るファンの方々にとっては、見たい坪井篤史像が詰め込まれたドキュメンタリーなんだろうと感じました。
なので、ファンの方々には、オススメ致します。
じぇれ

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