Iri17

検察側の罪人のIri17のレビュー・感想・評価

検察側の罪人(2018年製作の映画)
4.0
時間潰しの為に観たのだが、なかなか良かった。キャラクターが全員しっかり描かれていて、さらに俳優陣はトップ俳優から、地味だけどしっかりこなす演技派が固められていて、このキャラクターたちを観るだけでも充分観る価値のある映画。

邦画の金かけた大作にしては、司法や政治家、メディアの闇にかなり深く斬り込んでいる点も素晴らしい。
「政治家は日本を戦前の戦争国家に戻そうとしているし、日本の報道の自由度は北朝鮮よりちょっといいくらいだぞ」なんていう日本人のマジョリティーが見て見ぬ振りしている問題を一言でまとめてしまうようなセリフも登場する。

この作品のテーマは正義はどこにあるのかということ、時効になった殺人犯を法を歪めても罰を与える、そのためなら超法規的殺人も辞さない。こんなことは正義ではないだろう。しかし、ではその歪んだ正義を止めることは結局殺人を犯したクズを助けることになる。
権力の側に立つか、権力に立ち向かうか、難しい問題だろう。

日本はもう最近しっかり狂ったトンデモ国家になってしまった。権力者が嘘と不正で、弱者を支配し、立ち向かえば身を滅ぼし、国民の大半は見て見ぬ振りで、目の前の無価値なものに囚われる。政治家は日本を戦前に戻そうとしている。そうかもしれない。しかし、本当は戦前から何も変わっていないのかもしれない。戦前、戦中、戦後の総決算が出来ないままズルズル70年以上経ってしまった気がしてならない。インパールの道は続いているというセリフが印象的だった。

そんなことを考えさせられる作品でした。

あと劇中のニノは童貞だと思いました。
Iri17

Iri17