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検察側の罪人のhikarouchのレビュー・感想・評価

検察側の罪人(2018年製作の映画)
4.0
え、おもしろいじゃん!

序盤は、セリフの不自然さが気になったり、キムタクもあんまりハマってなくて、ヒヤヒヤしたけど、ニノ・吉高コンビはすごく良かったし(嘘くさいセリフでもニノが言うとなんかリアリティが出るから不思議。良い役者)、あの冤罪ヤロウもめちゃくちゃキモくて最高。絶叫尋問シーンとかもう笑ってしまったわ。いや良い意味で。

そして後半、これまでのキムタクイメージに反する展開に妙に胸が熱くなった。「凪待ち」での香取慎吾といい、中年の哀愁を帯びだしたSMAPがキテる。
終盤の山崎努のズルさも笑ったし、なんか物語の内容に反して、楽しい映画だったわ。

メインストーリーと並行して、旧日本軍のインパール作戦を引き合いに出しながら、現代日本が戦争へと向かう危機意識がまことしやかに語られる。言いたいことはわかるんだけど、それとこれとは話が別なんだよね。どう考えても論理的に繋がってない。
でも、最上(キムタク)は繋がっていると思っているし、自分の論理とか能力にゆるぎのない自信があって、そこにギャップがある。なんだかそこが、木村拓哉という人間の持つそこはかとないイビツさと重なっている気がして、妙に味わい深かった。さすがにこれは、作り手が意図したことではないと思うけど。

なんというか、物語的なカタルシスというよりは、こんな感じで終始ニヤニヤしちゃうような、そういう楽しさの作品であった。
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