たつなみ

検察側の罪人のたつなみのレビュー・感想・評価

検察側の罪人(2018年製作の映画)
3.5
『キムタクとニノかぁ…』という偏見全開で観始めたが、開始15分で見応えのある骨太な人間ドラマであることが良くわかる。
(そういう意味では主演2人がジャニーズ事務所という段階で損をしている作品とも言える)
キャストからしてもよくある薄っぺらいTVドラマの映画版っぽいが、演出が巧みなので全然嫌味を感じない。
木村拓哉が“キムタク“じゃない物語を初めて観た。

検察官という『悪を追求する』立場と『正義』というものとの関係に、『人間の尊厳とは?』というテーマまで加わり、重厚な物語ではありながら先が気になる展開に引き込まれる。

木村拓哉はいつもの様なヤリ手検察官役だが、家庭は崩壊して家族からは遠ざけられてたり、目的の為には手段を選ばないダークさを秘めた役回り。
ここに直情型の部下である二宮和也が見事なバランスで絡む。
二宮の役回りは木村の圧倒的な個性に対して邪魔(というか鬱陶しい)な存在に成りかねないのだが、彼の持ち前の幼いルックスとどこか危うさを漂わせる雰囲気で全然木村に負けていない。
この配役でこの作品は成功と言える。

それにしても松倉役の酒向芳って初めて見たが、この人がキョーレツ過ぎて笑える。
実はこの人を始め、この作品は所々メチャクチャ変な描写が幾つかある。
(葬式のヘンな踊りとか、”コト”が終わった後の2人の体勢とか…)
マジメな物語にいきなりブッ込んで来るのでとても奇妙な気持ちになる。

とても頑張っている作品なので本当はもっとスコアを高くしてあげたいんだけど、旧日本軍の『インパール作戦』を持ち出してきたり、『日本を軍国主義に戻すな』みたいな政治的メッセージを匂わせてる所はホントやめて欲しいと思った。

『インパール作戦』自体は日本軍の完全なる失策だし、そこで亡くなった方々には心からご冥福をお祈りしたい。
でもこれ、ストーリーにそれ程大きな影響は与えてないし、安易に今の政権批判してカッコつけてる様に思えて来てガッカリした。
(大体安易に『今の日本は軍国主義に戻ろうとしてる!』って思ってる所が気に食わん。アホか💢)

何でもかんでも体制批判する事はカッコいいことでも「ちゃんと考えを持ってる」訳でもない。
それはただ単に否定する方向に偏ってるだけ。
どんな物事でも是々非々(良いものは良い、悪いものは悪い)で行かなくてはダメだ!と強く言いたい。