検察側の罪人の作品情報・感想・評価

「検察側の罪人」に投稿された感想・評価

全体的に見たらちょっと慌ただしく、細やかさに欠ける脚本だなあ、と思っていたら、上下巻からなる同名小説を2時間にまとめた作品なんですね。なるほどと思いました。

それでも面白く作品を観れたのは、原田眞人監督の手腕と主役のお二方はもちろん、脇を固めた俳優陣の素晴らしさからなんでしょうね。

100%の真実なんてなければ、100%の嘘もない。それと同じように、100%の正義もなければ、100%の罪なんて存在しない…

それでは何を信じて生きていけばいいのでしょう。

この作品の冒頭ではそれを"武器"と言っています。事件を解決するのに必要なのは、容疑者が用意した虚実のアナザーストーリーを排除するための"動的事実認定力"、すなわち独自の捜査を主導して真実を見極める力と事件のストーリーをイメージする発想力が必要だとし、併せて真実をこの手で掴むという強い意志こそが、唯一の"武器"になるのだと。

それを忘れて、自分の正義、自分のストーリーに固執する検事は必ず罪を犯すと言っています…

少し違う話になるかも知れませんが、昨年末の忘年会シーズンの金曜日。僕は残業で遅くなり、帰りも終電近くになっていました。

僕が地下鉄のホームに着いたと同時に電車が滑り込んで来ました。終電の一本前の電車です。そんな遅い時間にも関わらず、ホームは忘年会を終えて帰宅する人たちで埋め尽くされています。

階段に近い一番後ろの車両は駆け込む乗客があとをたたず、表面張力のように人がドアから溢れようとしています。

もうその車両には乗れないと判断しても、その隣は女性専用車両で、その向こうの車両でも押しくらまんじゅうが行われています。

やはり比較的空いているのは女性専用車両発車しかありません。発車ベルに脅かされた人たちが、男女問わずそちらに流れ込んで行きました。

僕も迷わずその車両に雪崩れ込みました。どうせ次の駅で乗り換えます。ほんの2、3分間その車両に居るだけです。

僕はギリギリその車両に乗り込む事ができ、ドアを目の前にして立つ形になります。

すると後ろから背中を押されたので、どなたかが降りそびれたと思い、僕は一旦外に出ました。ですがしばらく経っても誰も出る気配がありません。

僕はもう一度乗り込み同じポジションに立ちます。すると先程よりも強い力で背中を押され、僕は外へと弾き出されてしまいました。

僕は意味が分からず車両の中を見ると、女性が僕の足元を指刺しています。そこには「平日終日女性専用車両」の文字。僕がそれを確認し、もう一度車両の中を見ようと顔を上げた時には、もうドアは閉まってました…

そのドアに隠れて女性の顔を見ることはできませんでしたが、その隣でバツ悪そうにしたサラリーマンの顔が何人か見えました。

僕は頭の中で整理ができないまま、独りホームで立ちつくします。僕の罪は何だったんだと…

僕は怒りが込み上がるの抑えながら、冷静に考えてました。はじめはなぜ僕一人だけ?彼女がここは女性専用車両だと主張するのであれば、どうしてあのサラリーマンたちは車両から下されなかったのか、他にも男性は多くいたじゃないか。なぜ僕一人だけが彼女の正義の生け贄として差し出さられなければならないのか。そういう不条理の犠牲になった怒りで頭がいっぱいです。

それから少し冷静になると、やはり女性専用車両に乗った僕にも非がある。あと15分待って最終電車に乗っていれば、こんな嫌な目に合わなくて済んだのだと自分を責めるようになります。でもやっぱりモヤモヤが消えません。

このままこの不条理を受け入れるべきなのか、それともあの女性を恨み続けるべきなのか、やはりどちらも正しいとは思えません。

この話の論点は、"何が正しいのだろう?"ということです。それで言えば僕が女性専用車両に乗ったことは正しくありません。たとえ法律でなく、鉄道会社が勝手に作ったルールだとしても、それを守らなかった僕にもそれなりの非があると思います。

ここで「なぜ僕だけが?」という疑問は持ち込まないでいます。それはたまたま僕が彼女の前、ドアの前に立っていただけのことですから。

ではその女性は正しいのか。という論点に差し掛かります。僕の中では彼女の考えは正しいと思います。女性の立場から、ここは女性だけが認められた車両だということを主張するのは正しい行為だったと僕は思います。

ただ、その"正しさ"が気持ち悪いんです。彼女の考えは決して悪ではありません。でも行為は悪だと思います。僕が怒りを感じるのは、その固執した"正義観"がとても気持ちが悪いからです。ただただ気持ちが悪いんです。

自分が正しいと思うなら、崖に人を突き落とすように、無言で人の背中を押すことも厭わない彼女の行動。固執したその"正しさ"が僕の中で"不正義"に感じ、罪にならない罪深さを彼女の中に見たのです。

正義は時に人を傷つけ、時には罪を起こさせる。

随分余談が長くなってしまいましたが、この作品は「正義とは何か」がテーマでなく、僕が感じたような「正しさとは」という人のあり方を問いかける作品だったと思います。

ただそれがヒューマンドラマかと言われるとそうでもないし、サスペンス映画かと言われるとそれも違うような…

もう少しジャンルが明確に分かるようであれば、見応えのある作品になっていたと思います。
SHICATA

SHICATAの感想・評価

3.8
正義とは、みたいな。
法は万能ではないし、時効が来ても遺恨は消えないし、真実は誰も救わない、的なのを知的にまとめたような映画。
雰囲気や台詞回しも含めて、面白かった。
神の手、は笑ったな。
終わり方
自分がもしも本当に人を殺さなきゃいけない事態に直面したら…。ここの演技が本当に最高で最高で。

この映画を見ると、100%の正義ってそもそも実現不可能なんだなと感じたし、それを最上と沖野が一番分かっているからこその二人のジレンマが面白かった。
白骨街道という人の犠牲の上に塗り固められた正義ね。
Catvery

Catveryの感想・評価

2.4
原作本:読了
MIYUKI

MIYUKIの感想・評価

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難しかった。
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