海外の批評家の不評っぷりを見るとそれでこそシャマラン。シャマラニアンが逆に盛り上がる構図になると思うんですが前作スプリットが割と真っ当に攻めたなと、良い方に慣れたな感があって面白い映画ではあるけどなんか違くないかと思っていました。ただ本作は本シリーズとシャマラン映画史の歴史の重みで泣けました。当時アンブレイカブルに合わなかったとして削られた場面をここで持ってくるというサプライズも。
ヒーロー映画の起源を描くという大それたことをやってのけたなと。そんなことを19年間も温めてきたのかと思うと胸いっぱいになりました。レディ・イン・ザ・ウォーターで伝えたかったことを語り直した感がある。一見全くのでたらめで嘲笑されるような話を自分は信念を持って信じきることがいつか救われること報われることを真っ当なヒーロー映画として描き切った。自分の役割とは何なのかという主題が凝縮されている。というかシックスセンスから言ってること同じような気がするんですよね。あまりにも愚直すぎて泣けた。
マカヴォイの多重人格者の演技が前作よりも素晴らしく前作の３倍くらいの人格を演じ分けている。ビーストが登場するたびに服を脱ぐ手間をかけさせているのはシャマランなりのユーモアなのか苦笑
ストーリテリングに寄り添った結果、ある人物の不遇さには悶々としたし本シリーズの当事者たちが集まる場面はもう少し整理してほしかったなとか、脱獄周りの描写が緩すぎるなど気になるところもある。しかしそこはシャマランの可愛げでカバー。三部作きれいに輪が閉じた。やはり稀代のストーリーテラーだ。
