エクストリームマン

ミスター・ガラスのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)
4.2
They always undermine the mastermind.

※ ネタバレしてます

『アンブレイカブル』『スプリット』に続く、シャマラン・ユニバース完結作。存在として優れている“われわれ”を世界は何故認めない?隠そうとする?というミスター・グラス=シャマランの叫びが炸裂する。完全に前2作を前提とした続編で、19年越しで当初の構想が結実した感慨深さもひとしお。

ドクター・ステイプル(サラ・ポールソン)に捕らえられ、仲良く精神病院に閉じ込められたイライジャ・プライス(サミュエル・L・ジャクソン)、ケヴィン・ウィンデルクラム(ジェームズ・マカヴォイ)、デヴィット・ダン(ブルース・ウィリス)の3人。彼らが持つ超常的な力は、本人の思い込みに過ぎないのだと丁寧に丁寧に説明するドクター・ステイプルの語りに、デヴィットとケヴィン(の中の人格たち)は日に日に自信を失い、力も失っていく。特に、ケヴィンのいち人格であるパトリシアの自信喪失ぶりは観ていて痛々しいほど。ケヴィンの中に住まう彼らが「ザ・ビースト」の存在を信じられなくなってしまっては、一体誰が…という形で、本作では前作、前々作ではヴィランとして振る舞ったキャラクターたちこそが主役であり、デヴィットを含めた彼らの存在を亡き者にしようとする不可視の勢力との闘いが描かれる。ここに来て、対立しているのは善と悪などではなく、超常的な力を授かった者とその存在を隠蔽しようと画策する者たちであることが判明する。それは、『アンブレイカブル』のラストから直接繋がるテーマの再現であり、また物語としても、デヴィットだけでなくケヴィンもまたミスターグラスに“作られた”存在だったことが判明するという意味で「すべてが繋がる」ラストはシャマラン映画らしさも存分に発揮されていて興味深い。

シャマランの主張と独特のヒーロー観に支配された映画でありつつ、サスペンスやミステリーの見せ方は普通に冴えていて、だからこそこの物語が映画としての体裁を保っていられるのだなと実感した。作中でも現実でも相応の時間が経ったことが反映された設定や画作りには、リアルタイムで『アンブレイカブル』を鑑賞したわけではない自分でもグッとくる。

続編が作られることがあるのなら、それはケイシーとジョセフの物語になるのだろうか。