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死霊館のシスターのdm10foreverのレビュー・感想・評価

死霊館のシスター(2018年製作の映画)
3.9
【unfinished】

「安定の良質ホラー」と言った感じでしょうか。
チビってしまうほど強烈な恐怖を感じるというほどではありませんでしたが、壮麗な修道院の雰囲気と闇に潜む悪魔「ヴァラク」の恐ろしいビジュアルを見ただけでも、結構もとは取れたかなと。
そもそも「死霊館シリーズ」を全て観てきているわけではないのでところどころ飛んではいますが、それでも前作「アナベル~死霊人形の誕生」を劇場で鑑賞しており、そこにヴァラクもチラリと「出演」していましたので、その辺りからも「恐怖の原点」という設定はすんなり入ってきました。

(あ~悪い奴なのね)と。

ただ、「死霊館~」とついている割には、そんなに直接的な関係はないのかな?その辺の詳細があまりわかっていない部分でもあるので、今後復習していきます。
で、今回は普通に2D字幕版で鑑賞しましたが、地元のユナイテッドシネマズでは「4DX版」も上映されており、ちょっぴりどちらにするか悩みましたが、じっくり観たいと思ったので2D版にしました。
以前、清水崇監督が撮った「雨女」という4DX専用作品をみて、その際にレビューも残していますが、「いわゆる琴線に触れるような『芯から冷える系』が良作とされるJホラーと4DXの相性はどんなもんなんだろう?」というようなことを書きました。
静を動で表現することは出来ないし、また逆も然りだと思うんですね。
だから、今回この作品を4DXでやると知った時は「ハリウッドタイプのホラー」なんだなと勝手に値踏みしてしまった。「Ban!!」「Don!!」「Nooooooooooo!!!!」みたいな。
ま、それはそれでちょっと惹かれたけどね(笑)

という事で、本題。
今までの「死霊館シリーズ」が実話に基づくというスタンスでずっと来てたので、今作もそうなのかな・・と思っていたら、今回はさすがに違うみたいね。
モデルとなったルーマニアの修道院はあるらしいけど・・・。

意外と早い段階から「悪魔の尼僧『ヴァラク』」はがっつり姿を現します。ちょっとずつとかではなく、かなり最初の段階から攻撃性が強いです。
昔何やかんやがあってルーマニアの山奥にあるこの修道院に封じ込められていたんですね(ネタバレになるので詳しくは書きません)。
ですが、戦争の爆撃で受けた損傷によって封印が破られてしまいます。
命懸けで悪魔と対峙する修道女たち。しかしあまりにも強大な力を持つヴァラクの前にはあまりにも無力でした。そして「あるアイテム」を託された修道女ヴィクトリアも、最期はヴァラクに追い詰められた挙句に自ら命を絶ちます。
物語はバチカンからこの事件の調査を命じられたバーク神父と見習いシスターのアイリーンが体験する壮絶な恐怖が描かれています。

なぜ見習いシスターがこんな危険な任務を与えられたのか?
そうですよね。彼女はまだ「終生誓願」を行っていませんでした。つまり一生涯を修道女として生きるという宣誓です。序盤からも何度かこの件で指摘を受けていることからも、ここからも初期の段階ではまだ心に迷いがあったのかと匂わせる設定です。

全体的に古びた修道院が舞台とあって、全体的にダークトーンですし、いわゆるゴシックホラーのテイストは守られている気がしました。
また「アイリーン=白い修道服」と「ヴァラク=黒い修道服」という色の対比で「正義対悪」という構図もはっきりしていました。
映像的に目新しいというものはありませんでしたが、裏を返せば古典的なテイストをキチンと踏襲した「安定感のあるホラー」と言える気がします。

冒頭のシーンでシスターが自死するシーンで、印象的に描かれていた「逆さ十字」。
実はその後の重要なシーンでも効果的に入れられていて、でもそれ自体がそのシーンを意味するという位置づけではなく、他の事が起きている後ろの方でひっそりと十字架が逆さになっていたりと、気が付いたときはちょっと怖くなりました。
(ヴァラクが近づいている)と暗に知らしめる表現ですよね。

ラストの展開でアイリーンの与えられた使命というものが明確になり、そこからヴァラクとの対峙へと向かいます。
ちょっとこの辺の描き方が個人的には・・・ちょっとね。軽く感じてしまった部分であって・・。悪くはないんだけど、もうちょっとホラーなんで、絶望感的なものが欲しかったなと。というわけで「一応」の解決はみます。
一応のね。

あと、あのシスターたちは・・・・やっぱりそういう事ですよね。
既に・・・。
彼女たちは今もなおヴァラクに立ち向かっているととるべきか、既にヴァラクの手に落ちてしまったととるべきか・・・実はまだそこが解明できていません。
もう一度観てその辺を理解したいなと思います。

そしてフレンチ―。
100%死亡フラグキャラと思って観てましたが・・・まさかの!というラストでした。
ある意味、ここから「終わりが始まる」というラストなのかもしれません。
超絶怖いとまでは行きませんが、結構好きです。
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