チィ

今夜、ロマンス劇場でのチィのレビュー・感想・評価

今夜、ロマンス劇場で(2018年製作の映画)
3.5
坂口くんが俳優はじめる直前くらいに某名画座で遭遇したことがあって、それ以来きっと彼は映画が好きなんだと思い込んでるんだけど、そんな彼にぴったりだなとじーんとした。一瞬の出会いなのに1本の作品の見方が変わる未来が待ってるとはまさか思わなかったけど、リアリティさが増して、この役をやってくれたのが坂口健太郎で良かった。

作品も宣伝がおとぎ話のお姫さま〜って感じだったから、胸キュンラブストーリーかと心していったんだけど、全然違って。『映画』という存在をひたすら考えさせられた。
綾瀬はるかが中盤に語る告白はダブルミーニングで、ラブストーリーにも取れるし私たちが今まで慣れ親しんできた作品たちへの危惧でもある。先日ダンケルクの日本唯一の35mmフィルムが破損してしまったけど、かつてフィルム上映のみ行われてVHSにもならなかった作品たちは現在何処にいるのだろう。データ管理の世の中でも、1つのドライヴにしか保存されていなかった作品はどうなるのだろう。フィルムの中にしか存在しないお姫さまはそのフィルムが厳重に保管されていたら、世界はまだ存在するけど一体誰が観てくれるのだろう?俳優、女優は現実世界でまた別の役となるけど、彼らが今まで演じた役はどうなるのだろう。そんな考えが全くなかったから、ハッとさせられる瞬間でした。

好きな作品は末永く愛そう!
チィ

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