このレビューはネタバレを含みます
映画愛に溢れていて、不覚にも泣けた。高評価はうなづける。脚本、映像、音楽、どれも良くて「勉強させていただき」ました。邦画のサントラをダウンロードしたのは「3丁目の夕日」以来。これを聴いただけで泣ける。総合芸術としての映画の魅力が炸裂。
結局十回以上みました。
4/5の新宿ピカデリー最終回が最後でした。
以下、思いっきりネタバレ。
予告編を何回も見ていた私は、冒頭の看護士の「お孫さんが毎日見舞いに来ているが、転倒しても助けない」と聞いて、おそらく姫は現代まで「触れず」に寄り添い続けてきているのでは、と予想できた。
でも実際に姫が病室に来るとグッとした。
死の直前にやっと姫に触れることのできた時に加藤剛が魅せた表情は絶品。
これが遺作とは。
あっぱれな役者人生!
コメディーリリーフ俊藤の、下を向いてたら今しか見えない。前を向いて未来を見よ、のアドバイスはカッコ良かった。
途中、姫から社長令嬢へのアドバイスは、「猟奇的な彼女」からパクってたね。
ホタルのシーン。映画の中から客席をみていて、熱心な客に直接会ってみたいとする姫の動機にはグッときた。こういう発想は ハッとさせられる。
最期に書き上げた、昭和35年当時の関係者が元の映画の中に入って2人を祝福するラストはお見事。確かにタイタニックっぽかった。
白黒から一本の赤い薔薇だけがカラーになりどんどん広がりフルカラーに。「8年越し年越しの花嫁」ならぬ「58年越しの花嫁」といったところか。
しかもラストシーンにも伏線があってシナリオハンティングのシーンの中に、神社の祭りの時に健二がバラを捧げるシーンが入ってましたし、BGMも一緒でした。なかなか巧妙な仕掛け。
劇中で「カサブランカ」を上演してましたが、あの作品もWarner Bros.が作ってたんですね。
元の映画は戦前に作られていたようですが、だとしたら右から左に表記するはずですよね。ちょっと違和感。