なみつ

ニワトリ★スターのなみつのネタバレレビュー・内容・結末

ニワトリ★スター(2018年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

好きな人はハマるし、合わない人には苦痛。

…苦痛でした、わたしには
オープニングから嫌な予感。「ぶっ飛んでる」って、思わせたいんだろうな、ていう、狙いすぎてどこかで見たことある感じになってしまったやつ。

心を整理するためにもあらすじを振り返ってみます。
・東京のボロアパートに住む草太は、大阪出身の不良(34歳)。定職にもつかず、薬の売人をして、少しのスリルを楽しみながら生きている。
・草太のアパートに入り浸る(ほぼ同居)楽人、若者。薬の卸主ジェイを草太に紹介し、自身もたしなんでいる。自堕落な生活。
・ある日、薬を受け取りにジェイの元へ向かったが、そこには偶然ヤクザの姿が。「やばい」と肌で感じるふたり。
・数日後、へまをしたジェイがヤクザに殺された。それもえげつない方法で(その名も「踊る芋虫」←勝手に命名)。ふたりはそれを知らない。ヤクザたちは何食わぬ顔で、「ジェイから連絡あったら教えてよ。何かあったらいつでも俺ら頼ってね」
・目をつけられた。一生逃れられない。絶望する草太。苛立つふたりは言い争いになるが、結果、草太は大阪に戻ることに。
・一人になった楽人だが、実は想い人がいた。シングルマザーの月海だ。彼女達を養い、守るためにも働かなくては。面接を受けても、経験やタトゥーだらけの外見のせいでうまくいかない。ついに、あのヤクザたちを頼ることに。
・次第に深い仕事をさせられていく楽人。よりどころを求めて草太に電話するが、草太は大阪でお好み焼き屋を営みながら平和に暮らしていた。遠い。でも、幸せそうで良かった。
・ヤクザたちはついに楽人を見限り、家族3人にえげつないことをしようとする。しかしそこへ、精神に異常をきたしたおっさんが偶然乱入、ヤクザたちを血祭りにあげる。唖然とする楽人だが、そのまま地元の沖縄へ逃げる。
・沖縄でなごやかに暮らす3人。だが、楽人の病気が発覚し、帰らぬ人となる。
・月海から話を聞き、月海の存在を含め、自分が何も知らなかったことを思い知らされる草太。楽人からの最後のメッセージ、自分への想いを受け、涙が止まらない。
 【エンドロール】
・月海の息子、てぃだは成長し、サッカー選手に。草太に宇宙旅行券をプレゼントする。草太が向かう先は、楽人の星、ニワトリ★スターだった。
 【おしまい】

こうして書いてみると、わりとちゃんとした話かも…
好きなところもたくさんあったので、先にそちらから、、、
・「あいつにも、俺の知らない時間が流れてる」というセリフ。そうなんだよね、、、
・成田凌さん。初めて観たけど好きでした。目が死んでた。そして泳いでた。草太が酔い潰れたときの、「とりあえず、水…」ていう、取り乱しつつ乱れ切れないかんじ。なにげない仕草。就活中の、挙動不振なようす。わたしがお店の人でも、雇いたくねーーーーー!!!という雰囲気が漂ってる。乾いた笑い。でも、空っぽではなくて。顔は、今はどうしても妻夫木さんに見えます。はっ、思えばグザヴィエ・ドラン感もある…!
・「不良」の情けなさが出ててすごくよかった。悪ぶっても、やっぱり本物が出てきたらたちうちできないんだっていう、しゅんとなる切換がリアル。
・津田さん、ほんと恐い…笑顔もぜんぶ。ヤクザの恐さもあるし、なんちゃってヤクザのうさんくささとうざさと狡猾さもあるし。画面に出てくるたびにもうやめてー!!ってなりました。警察行けよとかそんなんじゃなく、もうどうしようもないんだって思わせる絶望感がほんとうに。そんな簡単に人殺しをなかったことにできるのがほんとなら、ヤクザ最強すぎるやん、、、
・井浦さんのお好み焼きやさん。行きたすぎる…
・草太のお父さん、たまらん、、、こうして書くと、俳優さん皆よかったな。

はい。
ここからは半分愚痴になってしまうかも、、、
6合目くらいの時点で「早く終わってくださいお願いします」と祈りました。これまでの映画人生で初のことですが、わりと本気で出ようかとすら思いました。8合目あたりからは、なんとか安心して観られました。
途中まではがんばったけど、このままだとさすがに興業的にやばいからラストはそれっぽく収めて、と言われたのかしらと思うような展開だったけど小説もそうなんだろうか。個人的にはそのままにならなくてよかったけど…
なんだろう、合わないんだよなーーー。
まず井浦さんの関西弁。受け付けなかった…セリフなら大丈夫だったけど、モノローグが多いから、そこがどうしても…
あと全体的に寒い。見たいものじゃない。「現実は実際、寒いものだ」と、それを表したいのなら、不快感が狙ったものなら、成功していると思う。でも、わざわざ映画として観たくはないんだ…わたしは、目を背けたい。ドキュメンタリーとか史実に基づくとかはすごく好きで、知ることができてよかったといつも考えさせられるけど、これに関しては、できれば知らずに生きて死にたいところに属している。たとえそれが現実だとしても。臭いものに蓋をして、陽の当たるところで甘い蜜だけ吸って生きてきたんですねーって、冷ややかに思われても。
若者向けかな?と思ったけど、「大人のファンタジー」ってあるし、不良(34歳)だから、大人向けのはずだよね…タネあかしです!みたいな回想も、なくてもさすがのわたしでもわかるし…。
物理的に痛いシーンが多いのも、ほんとうに見たくなかった。もともと耐性はなくて、いけてもアウトレイジくらいまでですが、この監督が見せてくるものについては、見ないほうがよいかもといいますか、自分の肥やしにはならないという可能性を感じてしまった。まあその考え自体が、この作品を感じるにあたってはお門違いなんだろな。

とはいえ、ここまで長い文を打ち込んでいる時点で、何かは心に残ったのだと思う。小説は読んでみたい、確かめるために。

心に残ったといえば、初めて鳥肌実さんという存在を知りましたがこのまま頭の中の人物リストに記しといて大丈夫な方なのでしょうか…?なんか、深入りしないほうがいい感が


スターって星のことで、スーパースターとかに使われるけど、それは輝くものってことだからな気がするけど、そういう意味では太陽のほうが眩しいのに星なのは、たくさんあるものだからってことなのか、それとも太陽だと、見る者の目を潰してしまうからなのか、なんて、ふと思ったりしました。
なみつ

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