kotchan

マイティ・ソー バトルロイヤルのkotchanのレビュー・感想・評価

4.6
♫ 違う 違う
ソー(そう)じゃ
ソー(そう)じゃなぁい〜♬

鈴木雅之の名曲がエンドレスで脳内再生されるほど「違う そうじゃない」シリーズ3作目。
大胆にコメディ路線へと舵を切った異色作。かなりリスキーな挑戦だったと思うけれど、僕的には好感の持てる路線変更で非常に面白かったし楽しかった(*^▽^*)ムハハ-

冒頭のソーと巨人スルトとのタイマンからノリが軽い。そこからアスガルドに戻りロキと共に父オーディンを探すため地球へ。ドクター・ストレンジの手助けで父の最期を見届けるも、直後にソーの姉上ヘラ様のご登場でソーソー(早々)にムジョルニアを破壊されてしまったしょんぼりソー。スルト戦の無双感もどこへやら、この後どう戦うかの心配は皆さん同じ思いなのだろうね。
ここまでの展開がテンポ良くコンパクトにまとめられ、『ドクター・ストレンジ』のおまけ映像との繋ぎ方も巧い。ヘラの圧倒的な威圧感と凶悪性、ソーとロキをあっさり退ける強さは絶望の2文字がチラつく。

辺境の惑星サカールに飛ばされたソーとロキ。アスガルドに危機が迫る中、随分とのんびりした進行とギャグ満載のゆる〜い中盤。髪を切られて短髪になり剣と盾の出で立ちは神というよりもはやグラディエーター。雷神の風格も威厳もないソーは、ハルクと再会しヴァルキリーなんていう心強い新キャラと"リベンジャーズ"を結成してアスガルドに向かう。ロキはサカールに置き去りにしたけど「なんとかなるっしょ!」の勢いで最終戦へ。
だがしかし、ヘラ姉さん強すぎ( ;´Д`)ウゥゥ

っていう展開をコミカルに描いた今作は、中盤の尺を削って終盤の個々の見せ場を増やして欲しかった不満はあるものの、善悪がはっきりしたわかりやすい対立構図でとても観やすい。規格外のバトルはもちろん、至る所にギャグを放り込んで笑いを誘い、かと言って軽くなり過ぎていない構成のバランスが絶妙なんですね。

マーベルらしからぬ重たいテーマを扱ったシビルウォーに参戦しなかったソーとハルクが、辺境の惑星で繰り広げるガチバトルは、所詮は場外乱闘的な無駄バトルでしかない。しかしながら破壊力抜群なのは間違いなく、ロン毛とハンマーを失ったソーが新たな力を覚醒させる見どころでもある。
宿敵であるはずのロキは「性格はちょっと捻くれちゃってるけど、結構良いヤツなのかも」に思えるほど"普通の人"になってる気がするし、"こじらせ博士"に成り下がったバナーのキャラ変更も意外に面白くて、そんなこじらせバナーを上手に宥める"雷様"ソーに人としての成長を感じる 笑。

これまでの『マイティ・ソー』シリーズとは随分と作風が違うものの、僕的にはマーベルはこのノリで良いんじゃないかとも思う。重たく暗いテイストはあちらさん(DC)に任せて、マーベルはどこまでも「明るく楽しく!」で突き進んでほしいし、「正義とは?」とか「ヒーローとは?」とかいちいち悩むのはあちらさん(DC)がやってくれるから、住み分けって大切だと思うんですよね。境界線が明確だからこそカラーや味が生まれて、ファンはそこに魅力を感じる。先日観た『ジャスティス・リーグ』が思ったよりマーベル寄りだったので、今後はその辺りも気になりますね。どうなることやら…

相変わらずの豪華俳優の起用は嬉しい!
ケイト・ブランシェット、ジェフ・ゴールドブラム、カール・アーバン、もっと見てみたいと思わせる好演が良かった。僕にはヘラが鹿の角を付けたSM嬢にしか見えなくて演じてるのがケイト姐さんだったのもあってヨダレもんでしたね。是非とも鞭とローソクで戦っていただきたかった(どんな武器だよ)
それにしても演劇の役者として登場したチョイ役3人には驚いた。「似てるなぁ〜まさかなぁ〜いやでも似てるよぉ〜」と思っていたらやっぱりそうだったのは嬉しいような悲しいような、とても贅沢なキャスティングでした(*^^*)
kotchan

kotchan