dm10forever

マイティ・ソー バトルロイヤルのdm10foreverのレビュー・感想・評価

3.9
【正統かつ異端】

マーヴェルって基本的にコミカルなほうだとは思うんだけど、ソーはその中でも1,2を争うくらいのコミカルキャラになってしまったね。

そもそも人間ではないので、人間が出来ないような事をやってみたりとか、人間ならいわないようなことをあえて「ソー」に言わせることで、絶妙な「ズレ」が生じておかしくなるっていうのはわかる。
でも神様同士の次元でのコミカルなやりとりは、もはやモンスターエンジンの「お前か」「私だ」でおなじみ「神々の遊び」コントみたいになっちゃう。

だからもうちょっと(ギャグは)抑え目でいてくれたほうが、すんなりSF映画に没入できたのにな~と個人的に感じた残念感。

ただ、きっとこれは好きな方のほうが多いんだと思いますけどね(笑)。
あえて今までにないテイストというかをあえてここでぶち込んできたのも何かしらの意図を感じたし・・・。

それまでマーヴェルシリーズをことごとく敬遠していた自分が、先日の「インフィニティウォー」をきっかけに、グイグイと音を立ててマーヴェルに惹かれているのが分かります。
やっぱり面白いもんね。

勿論、基本的にはDC派というスタンスは変わってないです。
やっぱりどこかハードでダークな感じはSFヒーローものでありながらも、結構余韻を残してくれる作品が多かったので。

ただ、裏を返せば「暗い」です。
そここそがマーヴェルからしたらツッコミどころなんでしょうね。
シリアスな顔したキャラクターに「DCかよ!」って言っちゃうような。

そんなマーヴェルでも先日観た「エイジオブウルトロン」や「シビルウォー」では、ほぼギャグは無しで全編通してシリアスな作りに徹していました。
ましてや「エイジオブ~」に至っては『アベンジャーズシリーズ』の「2」として位置づけられていることもあって、次回作(インフィニティウォー)への橋渡しを意識し過ぎたあまり、「これは2でいいのか?」という疑問まで残してしまいましたが・・・。

結果的には何とか「シビルウォー」と一緒に見たことで「3」への流れは掴めたけどね。

今作の位置づけとしては「ブリッジ」というよりは、本当に「インフィニティウォー前夜」とでも言ったほうがいいのかな。「シビルウォー」がストーリーとしてはブリッジの役割を果たしていたのかなと思っていたけど、よく考えたらこの二人(ハルク、ソー)は、いわゆる「アベンジャーズ内戦」には参加してなかったんだよね。
つまり、本筋とは違う場所だけど同じ時間軸で別のトラブルが発生していたという。

どうりで、地球は殆ど出てこないわけだ。だけど「インフィニティウォー」への導入という点では、こちらのほうが位置的には近いことになる。

ここで疑問なのが、マイティソーシリーズの中でも、とりわけアベンジャーズシリーズの中でも、ここまでギャグ(もはやコミカルを通り越している)路線に振り切ったのは何故なんだろうかという点。

これ、考えすぎかもしれないけど「ガーディアンズ~」の存在って大きいのかなって。
あれだけ王道のギャグ路線を突っ走る「ガーディアンズ~」を違和感なく「アベンジャーズ」の世界に迎え入れるのって、きっと「シビルウォー」のテンションのままじゃ無理でしたよね。
みんなが眉間にしわを寄せてるときに、ドラックスが入ってきて一言かましても、その場の温度差が・・・って考えただけでも背筋がゾッとする絵面しか浮かばない。

そう考えた時に「大丈夫だよ。ちゃんとギャグを受け入れるキャパもありますよ」と言わんばかりに、真逆のテンションに振り切った作品をあえて「インフィニティウォー」の直前に持ってきたのかな?と。

そう考えると、ティチャラにやらせるにはまだ荷が重いしなぁ・・って思ったら、この二人は適任だったのかなとも思う。

結果的に、インフィニティウォーでもソーとガーディアンズの掛け合いのシーンは自然だったしね。
いい意味での前振りを作れたんじゃないかな。

で、この作品自体の出来は?ってところだとは思うんですが・・・。
う~ん、ちょっと淡白かな・・。
ヘラが恐ろしく強くて凶暴ってのはわかったんですが、それが画面からあまり伝わってこない。
というか他のキャラがヘボすぎてパワーバランスすら掴めない。アズガルドってもっと大きな国だった気がしたけど、気がつけばうちの高校の全校生徒くらいの人口しかいないし、ソーとハルクのバトルや掛け合いは面白かったけど、ヘラとのバトルでは一番いい場面でツェッペリンの「移民の歌/Immigrant Song」を流せばテンション上がるっしょ?みたいな雑な感じも受けてしまって・・・。

ヘラとの戦いでソーが覚醒した?う~ん。
そう言えなくもない。
だけど、だとしたらその覚醒具合を披露すべき次回作が「インフィニティウォー」となる。

確かにソーは強かったけど、サノスの前には成す術がなかったし。

ストーリー的には「定形のフォーマット通り」というか「上げるところで上げる」がハッキリしていたので見やすいといえば見やすい、だけど、裏を返せばちょっと薄味でもある。
ただ、先にも書いたような色々な意味でのこの作品の「立ち位置」を考えると、中々面白い作品であったとも思える。
記録としては普通でも、意味合いは残る。そんな感じでしょうか。
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