毎年冬になると観たくなる、大好きな映画です。
映画を観るときは、映像としての美しさ、キレ、カット割、カメラワークを重視しているのですが、この映画をそんな頭でっかちな見方をするのは非常に野暮です。とにかくかっこいいんです。そしてダサいです。
白い息が出るほど寒いのに、モッズコートを脱ぐと半袖のポロシャツ。一歩間違えればお笑いです。でもギリギリ、いや、結構カッコよかったです。
でも冷静になって観てみると、スクーターのサイドミラーに人が映る様子や、いかにもイギリスらしいファッションの魅せ方は映画的な美しさがあります。
中盤のブライトンでの暴動のシーンも見事。「スティング、お前そんなに暴れるんかーい!」なんてツッコミを入れつつも、群衆がうねる様子に圧倒されてしまいます。喧騒の中、ジミーとステフがやっちゃうシーンも名シーンだと思います。そして「ベルボーイ!」。ダサいとカッコいいのギリギリのラインがせめぎ合い、まさに紙一重で絶妙にカッコいいが勝ります。ギリギリでカッコいいが勝るので、爽快感は抜群です。
何度も観ている中で、今回グッと来たのはこの台詞。
「モッズもロッカーも結局は同じだろ」
ジミーの友人はこう言い放ちます。本当にそうです。はっきり言って違いなんてありません。でも、60年代のイギリスにおいては殴り合いが起こるほど大きな違いがあったのでしょう。
もはや資料にもなり得るほどカルチャーを体現した映画だと思います。ミラーがたくさんついたスクーターは見かけませんが、モッズコートは今でも着てる人がいますね(自分がそうです)。
観終わった次の日は必ずモッズコートを着て、The Whoを聴きながら出かけます。でも騒がず黙っておとなしく電車に乗ります。もう僕はモッズではなく、ベルボーイだからです。「さらば青春の光」という邦題は秀逸だと思います。