いろどり

ロダン カミーユと永遠のアトリエのいろどりのレビュー・感想・評価

3.0
ロダン没後100年記念にジャック・ドワイヨンが監督した映画。
40歳で「地獄の門」の制作を始める中でロダンの恣意的な情熱と、弟子の彫刻家カミーユ・クローデルの情熱が交じり合う一瞬と、それにより起こる歪みや変化を通したロダンの半生が描かれる。

芸術家というのはバランスが悪く、生き方が下手な人が多い印象だけど、ロダンもまたその一人だった。

作品作りに限りない情熱を注ぐあまり、情熱の根幹となる女性に対しての扱いは酷い。

内縁の妻との子供を失敗作だから認知しないと言うところはあまりにも身勝手だし、自分の子供を全否定するのは、ロダンの自信のなさが見え隠れしているように思う。

不倫相手で才能のあるカミーユ・クローデルのアイデアを自分のものとして作品を作るのは、19世紀末の男尊女卑も背景にあると思うけど、女性というだけで芸術界からも軽視されるカミーユを応援するというよりは、一緒になって追い込んでいるようにも見えた。

愛情のバランスを崩し、別れてからもうまくいかないカミーユに資金援助するなど、それでもロダンなりの思いやりはあったのだろう。

女性関係に絞ればロダンは最低な男性なのかもしれない。けれど彫刻家として、1つの作品を作るのに全身全霊をかけ命を吹き込む。完成したらまた別の作品に情熱を注ぐというのはロダンのやり方で、一瞬、一瞬に生きるからこそ、後世に残る数々の作品が生まれたのだろう。

サロンに落選して落ち込むセザンヌに「作品を作り続けなさい」と助言するのは、40歳まで日の目を見なかったロダンだからこその力強さがあった。

アトリエに注ぐ光が美しく、作品を綺麗に映し出していた。

「地獄の門」の制作過程も精緻に描いていて、ロダンへの理解が深まった。
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