安堵霊タラコフスキー

グッド・タイムの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

グッド・タイム(2017年製作の映画)
4.3
基本的に手持ちカメラを主に用いた映画は等閑な臨場感を出そうという魂胆が見え見えで嫌いなのだけど、サフディー兄弟の場合は照明等に工夫を凝らして作品に独特の雰囲気を齎しているから好き

この映画は夜の時間帯が8割を占めているが、ほとんどのシーンでマゼンダやシアンの灯りが目立つ良い意味で毳毳しい画面となっていて、普通の家でもそうした印象的な照明だったりロケ地に意味もなくわざわざ夜の遊園地を選んでいるところから、状況のリアリティーを度外視してでも照明が印象的な映像にしたいという拘りが窺えて好感が持てる

加えてキャスト陣も良い仕事をしていて、特に関わる人間全て不幸にするボーイと化したロバート・パティンソンの存在感は凄まじく、70年代のアル・パチーノを思わせる眼力には蛇に睨まれた蛙の如く終始圧倒されてしまった

最後が少し呆気なく思いはしたものの監督の拘りやキャストの熱演には概ね満足のいく出来となっていて、この作品がカンヌで無冠に終わったことはつくづく残念だ