ベルサイユ製麺

グッド・タイムのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

グッド・タイム(2017年製作の映画)
3.8
…コレ、なんなんですか?

いや、微塵も製作した意図が分かりません。どんな気持ちにしたくて作ったのか分からなくて困惑…、という気持ちにしたくて作ったとしか思えない。だとすれば大成功!おめでとうございまーす…。

近頃本当に体調が芳しくなくて、それでも映画が観たい!頑張って観る!って時にこの仕打ちですか…。本当に悪夢を見て、何度も何度も飛び起きてしまった。あんなにリアルな刺し心地の夢は見たことなかったなー。
さて。
ストーリーはあらすじに一応書いてますが、なんだか投げやりな書きっぷりにも見えますね…。バキバキのホワイトトラッシュの男が、杜撰な銀行強盗計画に知的障害を持つ弟を巻き込んだ挙げ句に弟の方だけ逮捕。弟を救いだそうと行き当たりばったりに奔走するヒステリックな男の1日を、ユーモア皆無で描きます。題して『グッドタイム』ですか…。
実際に観るとストーリー以上にトゲトゲしさを感じます。観ててどんどん顔が険しくなります。はぁ。
ホワイトトラッシュ+知的障害者となるとハーモニー・コリンの『ジュリアン』を思い浮かべそうですが、今作には『ジュリアン』のようなリリカルさも神聖ぶったイノセンスも描かれません。要は、思い上がった憐憫すら無いと。はぁ。愛を持たない(依存は有る)人間しか登場せず、且つ製作者が登場人物に愛を持っていない(そりゃそうだ)ので、始終アブラを差していない機械が誤動作を起こし軋んでいるみたい。そしてOPNによる輝度の狂った劇伴。次第に映画が鳴ってるんだか、頭で鳴ってるんだか分からなくなりますよよよよよよ。
全体的にカルト名作『ありふれた事件』を連想したりもしましたが、『ありふれた〜』にあって今作に無いのは、狂ったユーモア感覚で、まあ“愛嬌も信念もない犯罪者は見てられない”という至って普通の結論に辿りつきました。よし、自分は正常。正常。正常。

体調の酷さ+好みじゃないせいでけっこう悪く書いてしまいましたが、情け容赦の無さ、感情移入拒否の徹底ぶりは見事と言う他なくて、えーと、二度とは観ませんが高評価です!あーもう寝る。優しい夢をお願いします。