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ローラのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

ローラ(1961年製作の映画)
3.6
初恋は甘酸っぱい思い出ではなく成就したい恋だった。二人のセシールの初恋を応援したい半分、傷つかないようにと祈る半分。踊り子名ローラのセシール(アヌーク・エーメ)の完璧な造形美に見合う相手はこの中にいるだろうか。愛らしい14歳のセシールのその後はどうしたかな。『シェルヴルの雨傘』に描かれているならいいけれど。娘の初恋にやきもきするご婦人もカサールの登場で浮き足立っている。水兵フランキーは後引かれなしの港町だけの恋。ローラは続編の『モデルショップ』にも登場するらしい。

恋する人は世界が変わる。みんなウキウキしていた。

初ジャック・ドゥミ監督。フランスのヌーヴェルヴァーグの中でも、会話だけで成立する会話劇のような、それにオチのない作品にはまだなかなか慣れなくて、ラジオ劇を聴いているみたいだった。ラジオではアヌーク・エーメの美しさは堪能できないが。独り言も含め、状況も気持ちも発話で説明される。

それと、トリュフォー等の作品でも登場する遅刻魔で仕事を首になる男性。ここでも登場。会話の妙を楽しむ作品だと思うのだが、ちゃんと働かないのに理屈だけは立派で、言葉が耳に入ってこなかった。なぜヌーヴェルヴァーグのフランス映画の男性はあまり働いていないんだろう。ゆるい…

サマータイムだとしても、朝の5:45に子供を慌てて学校へ連れて行ったり、まだ日が高い真っ昼間に、子供を寝かしつけたりで、文化や習慣、時間の概念の違いであちこち引っかかってしまったのが残念。

フランス映画は慣れなのか、この弛さに戸惑ってしまう。同じキャラクターや俳優を追って観た方がいいのか悩む。
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